失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「ANOTHER GREEN WORLD」 ENO 1989年

2006-04-10 | 
「プログレ8cm」に匹敵するミスマッチ感を誇る、「アンビエント8cm」。これは渋いよ。

イーノの8cmシングル。こんなの買ってる自分を褒めてあげたい。
ブライアン・イーノはご存知初期ロキシー・ミュージックのシンセ&孔雀担当。アルバム2枚をみんなで作ったあと、もうひとりのブライアンから「孔雀はひとりでいい」と言われ、イーノは脱退(今作りました)。その後はアグレッシブで変態としか言いようのない、キモ気持ちいいソロ作品を何枚か作ったと思ったら、いつの間にかアンビエントの巨匠、あるいは敏腕プロデューサーとしてメジャーシーンへ。

サブタイトルが「the title music of arena」。BBCで放送されたアート番組「Arena」のテーマ曲として「ANOTHER GREEN WORLD」が使用されたため、こんな8cmシングルが作られたようだ。アンビエント・トラック4曲というレアな一枚。

①ANOTHER GREEN WORLD (1'30) 1975
Produced by Brian Eno & Rhett Davies
ソロ3枚目の「ANOTHER GREEN WORLD」はポップソングとアンビエント系の短い曲がバランスよく配置されたアルバム。「St. Elmo's Fire」などのロバート・フリップ参加作品が印象に残るが、このタイトル曲は完全にENOがひとりで演奏している。後のアンビエント作品と比べると、比較的主張の強いギターが聴ける。75年といえば、オブスキュア・レーベルの誕生というアンビエント・ミュージックにとって重要な出来事があった年。おまけにロバート・フリップとのコラボ第2弾「Evening Star」も75年。

②DOVER BEACH (4'36) 1978
Produced by Brian Eno
デレク・ジャーマン監督の映画「Jubilee」のサントラとして書き下ろされた作品。収録4曲中、現在入手困難なのはこの曲だけ。「Music for airports」に収録されていても全く違和感のない、漂うようなシンセの音が眠気を誘う。関係ないけど、デレク・ジャーマンといえばサイモン・ターナーが手がけた「THE GARDEN」のサントラ物凄く好きだった。

③DEEP BLUE DAY (3'50) 1983
Produced by Brian Eno & Dan Lanois
アポロ計画のドキュメンタリー番組用に作られたアルバム「Apollo」から。“Dan Lanois”はダニエル・ラノワ。このふたりのコンピが80年代後半のU2サウンドの要となる。なんとなく宇宙空間を感じさせる単調なシンセのリフと、ラノワのギターがほのぼのした雰囲気。

④2/1 (8'24) 1978
Produced by Brian Eno 
前述のオブスキュア発足は75年だが、アルバムジャケットに「AMBIENT」の文字がハッキリ印刷されたのはこのアルバム「MUSIC FOR AIRPORTS」が初めて。アンビエントの記念碑的名作から、人声を楽器のように使った「2/1」を収録している。タイトルの意味するところは「A面の2曲目」ということ。なぜこのトラックが選ばれたのか、というと推測だがアルバム中で最も短いからだろう。音が鳴っているのに静か。この美しさと厳しさ、さすがパイオニアの貫禄と言いたくなる。

定価忘れたが、これもタワーレコードで買ったような気がする。
ジャケット写真はBBCテレビの好意による、と記載がある。水に浮かぶボトルの中に、燃えるような色の電飾で「Arena」の文字。いかにもアート系なアンビエントにぴったりのビジュアルだ。

アンビエントものってあんまり掘り下げてないけど、ART OF NOISEのアレとか、THE KLFのアレとかはよく聴いた。
ENOは、いい意味でインチキ臭い初期ソロ作品は大好きだけど、やはり完成度では「MUSIC FOR AIRPORTS」か。アートワーク含め鉄壁のコンセプト、文句のつけようがない。



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