・チャイの話
〝チャイ〟(インドの紅茶)について記しておく事にする。インドでは街の至る所に〝チャイハナ〟(茶店)があり、チャイが気楽に1杯20パイサから30パイサ(約10円~15円。この様な所は立飲みのお店)で飲めた。イギリス人も顔負けする程インド人はチャイを好んで飲んでいた。イギリスのティーとインドのチャイは如何違うのか、私の知っている範囲内で纏めてみた。
イギリスのティーは、ティーポットから紅茶をティーカップに注ぎ、好みに応じてミルク(牛乳)と砂糖を加え、上品に飲むのがイギリス流だ。これにケーキやクッキーが添えてあれば、最高の持て成しとなるのだ。勿論、場所、雰囲気、紅茶の種類・品質、上等なティーカップ等で持て成しの度合いは違って来る。
インドのチャイハナのチャイは、紅茶にミルクと砂糖をタップリ加え、グツグツ煮込むのだ。このチャイをカップになみなみと注ぎ、こぼれて受け皿にも溢れるほど入れてくれる。インド人はチャイがこの受け皿に溢れるほど入っていないと文句が出る。
飲む時、インド人は受け皿に溢れ落ちたチャイから飲んでいた。それからカップに注がれたチャイを又、受け皿に注いで飲んでいた。如何してそんな事をするのか分らないが、これがインド流チャイの飲み方であった。多分、カップのチャイはまだ熱いので、チャイを移し変えて飲むとその分少し冷めるので、そうして飲んでいるのかも知れません。〝薄汚れた受け皿〟(当然カップも欠けて薄汚れていて、非衛生な感じがした)のチャイは、余り好きでなかった。
イギリスのティーと違ってインドのチャイは個人の好みではなく、最初からミルクや砂糖がタップリ入っていて、非常に甘ったるい感じがしたが、これがケッコウ旨かった。インドでは、ミルクや砂糖無しのチャイはチャイでなかった。
貧しいインド人にとって又、我々の様な貧乏旅行者にとってチャイは、重要な栄養源であった。ミルクは大切な蛋白源として、砂糖はカロリー源として、そして水分の補給として、チャイは『大事な飲み物』であった。