やっぱり本も好き

忘却率がUPしているのでメモとして

幼年の色、人生の色 長田弘 みすず書房

2020年01月05日 11時18分35秒 | 
読後懐かしい暖かい気持ちになりました その優しさが溢れる本でした。
「旅におしえられたのは瞬間という とりかえしのつかない時間のもつ意味です。ひとの人生の時間は 無辺の風景のなかの 本当は 人生という瞬間のことなのだと」
「音楽を聴くのは胸中に3本のローソクをともすためです。1本はじぶんに話しかけるために 1本は他人に話しかけるために そして残る1本は死者のために」
「12月の音楽 バッハのクリスマスオラトリオ 日々を生きる者へのはげましがひそめられていて 不思議な元気がもどってきます」
「長い長い空白があって 親しい思いをもっていた人の死を知ったとき 不意に その人と共有した時間の感覚が一瞬ありありとよみがえってくることがあります。
死によって明るくされて ずっと忘れていた大切な記憶のかけらに気づく 街の人込みの向こうに消えた幼い友人の微笑に見たのは 人生という無のなかに友人が遺していった 明るさ です」
とても密度の濃いエッセー集で為になるお話がいっぱいです。