__ ISHKブログのコメント欄での遣り取りの中で、触発されて生まれた国防についての拙稿をまとめる。
● 立ち位置の違いだけ
日本には哲学がないので、西洋に倣って右翼/左翼と立場を固めたのは明治以降のことであり、西洋のように議会の長い歴史を経ていない分、拮抗する与党/野党の政治はいまだ出来ていない。
それ以前は、薩長藩閥政府とそれに反対する土佐中心の自由民権運動(板垣退助を中心に、帝国議会=国会を設立する運動)しかなかった。
反政府運動も、西南戦争をもって「武力闘争」は完全に終焉をむかえ、「民権運動」によって議会に代表を送り込み、政治を独占する薩長派閥の勢力へ風穴を開けようとするものだった。
民権を追求した勢力が「左翼」へ成長し、海外との不平等条約改正と外敵に処するために、民権から国権へ注力が移行した勢力が「右翼」と言ってよいかも知れない。元は国を思う愛国者の集まりから派生したものと言える。
実際、右翼の魁たる頭山満(福岡)と、左翼の魁の中江兆民(土佐)とは肝胆相照らす仲であった。
なんとなれば、お二方とも立派な国士であったからだ。
国を憂えて国のために働く、いわば「志士」であった。それ故に、「お国のために」という切なる思いは深く共有しており、たとえ立場と政策に違いはあろうとも、「お国のために」という互いの大前提はしっかりと揺るぎないものだった。
その一点において、話し合いが成立したのである。
侃侃諤諤、談論風発しても、双方とも「お国のために」という信念からは一ミリたりとも離れなかった。
だから、「国を生かす」方向でまとまることが出来たのである。
さて、いまの改憲派も護憲派も、本来はこの初期の右翼左翼の消息と同じはずなのである。
ところが、改憲派は「国を守るために」一致して推し進めているのに対して、護憲派からは「国を守るために」という気概が感じられない。
国より平和憲法の方を大事にしている印象がある。
わたしは、国策として「護憲」でも一向にかまわないが、護憲派のご意見とおりにしたとして、如何に「国を守る」のかが、何も出てこない。
すべて放棄したら攻撃や侵掠されないとでも思っているのか?
護憲派の方々は、ほんとうに日本を守るつもりでいるのか、大いに疑いをいだいている。
改憲派が「国を守るために」動いているのに、護憲派は「国を守るために」なんら具体策を持っていないのであれば、そもそも話し合いは不可能なのである。
ただ反対するために反対するだけなら、非国民といわれても仕方あるまい。
国(日本)が存続してこその「憲法」なのだから。
ー「護憲」でも結構ですから、どうやって国を守るのか、はっきりと示してください。それに納得できたら賛同します。
わたしが切に希望するのは、「国を守るため」の真剣な話し合いに尽きるのです。
● 国防についての私見
素人どうしで言い合うことも、世論には影響するかも知れんから、国益になるのかな?
私が訊きたいのは、護憲派の国防策なのであって、それで「国を守る」祖国愛を確かめたいのです、同胞としてのご意見なのかどうか。
箇条書きの方がわかりやすいので、その形をとります。
・「何故、戦後70年間日本は侵攻されもせずに、平和を維持できたのか?」
これは、日本に米軍基地があったからです。それだけです。
超大国アメリカは、核開発でも一歩先んじていましたかし、強大な軍事力は「世界の警察官」を僭称するに相応しいものでした。
ところが、ここ15〜20年で、まったく様変わりしました。
近隣の敵対する核保有国が2国に増えて、NK国の核ミサイルはアメリカ本土に被弾させることも出来ますし、C国の海軍力は世界一となりました。
ここに至って、日本国内に米軍基地があろうとも、日本に侵掠することが可能となりました。
いまの段階で、日本に侵攻されたからといって、アメリカが日本の為に核ミサイルを撃って反撃することは、100%無いからです。
アメリカの核抑止力は、効かなくなりました。
・「何故、いま軍備の増強を目指すのか?」
わたしたちの自衛隊は、すこぶる優秀です。世界ランキングでも上位に喰い込む健闘ぶりを見せておられます。
しかし、それは軍隊としてシミュレートした時の優秀さに過ぎないのです。
敵と対峙しても、交戦権もない武力組織を「軍隊」とは呼びません。自衛隊は「軍隊」ではないです。
軍事費を拡張しようとするのは、いまの戦力では対抗できないからです。
軍事力は、均衡している(バランスが取れている)ことが大切です。軍備が均衡していれば、戦端は切られにくいからです。
年々アップデートしなければならないものです。
覇権国家は、勝てる・奪えると確信してから侵掠するものです。
そう思わせない、ナメられない国力が大事です。
軍備を高めたとて、それを実戦に行使できない法律では、張子の虎みたいなものですが。
・「軍備の増強が、周りの国々との軋轢をうみ緊張を激化するが、それでもしなければならないか?」
国のために殉死なさった先人を祀る神社に、国民の代表たる首相が参拝するのは、最優先の国家行事だと思っています。
国として自律していれば、あたり前の事を戦後内閣はないがしろにしてきたと言えるかと思います。
他国からの干渉を許してきたのは、日本が自立していないからです。
アメリカ依存で、「核の傘」とも言われました。
今回のウクライナ危機でも、国益に反する対ロ制裁を強制されているわが邦です。情けないことです。
アメリカ・ファーストは、最近始まったことではなくて、昔からそうして来たのです。日本は、「核の傘」の恩恵を思って、アメリカの我が儘に堪え忍んでまいりました。
これも、一国として自立・独立していないからです。
占領国のままに、現在に至っております。
吉田茂首相のときに、占領を解かれ、「押しつけられた憲法」を破棄して日本人の創る憲法に変えることが出来たはずなのに、それをやらなかった。
その時にやらなかった事を、今やっているのだと思います。日本はいまだに自律していないからです。
現在、国際社会におけるアメリカの行動は、非常にあやふやなもので「危うさ」を感じています。
その潮流に巻き込まれている日本は、いまだかつてなく危うい状況におかれています。
しかし、核議論して国防議論して、敵意ある他国に睨まれたとしても、軍備拡張してアジア地域の緊張を激化させたとしても……
それらは全て、自立していない日本が自らの独立を守るために必要なことです。避けては通れない道筋であるからです。
ーお応えにはなっていないかも知れませんが、相変わらず「国を守る」具体策は出ませんね。
現状維持で推移できると思ったら大間違いです。
いまや政府がこれだけ勇み足なのは、間に合わないかも知れない恐怖心からだと察します。
わたしは、間に合わないと思います。第二のウクライナ、第二の憂いぐる、第二の地部っとになる予感がひしひしと……
アメリカの持つ「核抑止力」は完全に消滅してしまいました。うちのボンクラ政治家に較べて、覇権国家の政治家は老獪でしたたかです。ここまで詰めているとは思いませんでした、行動を起こされたら日本は即投了となりましょう。実に羨ましく涙が出ます。到底、太刀打ちできないでしょう。
せめて、日本国民全員に、正しく現状を知ってもらって、覚悟していただきたいと切に念います。
●無題
国際紛争に決して巻き込まれないためには、アメリカにNOと言えるためには、そして敵国に侵攻を思い止まらせるためには、どうすればよいのか。
実効ある確実な国防策は……
日本が自前で「核」を保有することです。
ーたぶん、国民投票で否決されるでしょう。
自立できなかった日本人は、覚悟するしかない。
● 無題
だれも国を守るために、何をすべきか、何をするのがいいのかを、言わない。
不確かな情報を基にして、文句をつけるだけ。
ほんとうに国を守りたい人が、批判だけで終わるはずはないのだ。
それでは、たとえ日本人同士でも合意にいたることは出来まいよ。
ご自分の身を守りたい意識はあっても、国を守る意識はないみたいだ。
靖国参拝もせずに緊張緩和したとしても、それは自国の歴史を否定した弱小国民であると言っているようなもの。
日本が一国として立たなければ、強国のいいなりに成ることも仕方のないことです。
E.トッドに触れたニュースのリンクを有り難う御座います。このニュースだけでなく、ぜひインタビューの全文(まとめ記事)を読んでもらいたい。
「日本は核を持つべきだ」エマニュエル・トッドが指摘する“米国依存の危うさ”〈ロシア侵攻後、世界初のインタビュー〉(文春オンライン) - Yahoo!ニュース
彼の論旨は、たとえ裏があろうとも「日本は属国であるかの如く、アメリカに振り回されないで、自ら自立してください」ということで、私は正しい分析だと思った。
Yahooニュースのコメント欄は面白いので、これから日本人の民度を探るべく逍遥することにしたい ♪
_________玉の海草
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