ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

2022年9月22日。ウクライナ侵攻から212日目

2022-09-22 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2022年9月22日。
 昨日のロシア大統領の動員令発令により、それから逃れようとするロシア人がベラルーシにもどっと押し寄せてきました。ロシアからベラルーシへ向かう交通機関はどれも満席。モスクワとペテルブルグなら、ミンスクまで夜行列車かバスで、夜に乗ったら朝到着する距離です。今、ネット検索したら、今夜モスクワ発ミンスク行きの列車は満席。翌日は空席が6席だけです。

  アルメニアやジョージア、アゼルバイジャン、カザフスタンといった旧ソ連諸国への直行便のチケットはあっという間に完売。
 トルコの国営航空会社ターキッシュエアラインズのウェブサイトによると、ロシア発イスタンブール行きの便は24日まで満席。エア・セルビアでは、ベオグラード行きの便で、次に空席があるのは26日とされています。
 ロイター通信によると、ドバイ行き航空券は平均の約5倍の約70万円に高騰した便もあるそうです。
 チケットを奪い合っている状態ですね。(結局お金を持っている人が助かるという仕組みですかね・・・)


 ロシアから直接、例えばカザフスタンへ出国しようと思ったら、飛行機が満席なので、まずミンスクへ行って、ミンスクからカザフスタン行きの飛行機に乗ろうとしているロシア人も大勢いると思います。

 今日、在ベラルーシ日本大使館から在留邦人に注意喚起の一斉メールが届きましたが、「9月21日に発令されたロシアでの部分的動員令に関連し、ロシア国内から出国を試みる動きが見られております。報道によれば、ベラルーシを経由して近隣諸国等へ出国する動きも急増しているようです。既にベラルーシから出国するための航空券の手配が困難な状況にもなっているようですので、ご注意ください。」と記載されていました。
 今のところ日本へ帰国する(ベラルーシから出国する)予定(チケットを買う予定)が私はないので、良かったと言えば良かったです。

 車で国境を越えようとするロシア人も増加。フィンランドやジョージアとの国境地帯は車両の行列ができています。

 ロシアを出国するために何キロも続く行列や、近隣諸国への航空券が殺到したとか空港が混雑しているといった情報を、ロシア政府は「著しく誇張されたもの。大げさ。」と述べていますが、パニックが起きないようにそう言わざるをえないようです。


 動員兵には、月20万ルーブル(平均給与の3倍くらい)が支給されるとロシア政府は約束していますが、戦死するリスクが高い中、お金をたくさんあげます、と言われても。
 兵士になったら、釈放されますよと言われても囚人すら拒否する戦線ですよ。


 ロイター通信によると、バルト3国は、動員逃れが理由だとしても、ロシア人を難民として受け入れることはないと明らかにしました。
 ラトビア外相はツイッターで「安全上の理由から、ラトビアは動員を逃れるロシア人に人道的その他のビザを発行することはない」と投稿。
 エストニア外相はロイターに「ロシア国民が義務を拒否したり、あるいはそうしたいと考えたりすることが、別の国で難民となる条件を満たすことにはならない」と述べました。
 ベラルーシはロシア人を受け入れてくれるでしょう。
 ベラルーシで住居を貸している大家にロシア人からの問い合わせが昨日から次々と来ています。
 チケットを買わなくても自家用車で国境も越えられます。

 バルト三国とは逆にドイツはロシア人の徴兵拒否者を受け入れるようです。
 ドイツ内相は新聞のインタビューで、
「深刻な弾圧を受ける恐れがある脱走者は原則、ドイツで国際保護を受けることができる。」
とし、政治的迫害を理由に亡命を申請することができると説明しました。


 しかし、今日になって、ロシア政府は海外に出国したロシア人も徴兵の対象であると発表しました。外国に逃げてもいわゆる赤紙が来るということですね。


 モスクワ市当局は今日、部分的な動員令で招集されたモスクワ市民が戦闘で重傷を負った場合、本来の報酬とは別に100万ルーブル(約240万円)の慰労金を支払うと公表しました。よい話のように思えますが、モスクワ市民に限ります。
 戦傷が軽度の場合は50万ルーブル(約120万円)。戦死の場合、遺族に300万ルーブル(約720万円)支払われるとしています。死んだらお金を遺族がもらえても、子どもや夫、父親の命の代償としては少なすぎます。


 ロシア各地で動員に対する抗議デモが行われ、人権団体OVDインフォによると、拘束者は38都市で1400人以上に上ったそうです。
 そして、拘束された人は連行された警察署でそのまま召集令状を手渡されました。今のロシア政権のやりそうなことですよ。
 拘束者の1人は軍への編入を拒めば立件すると警察で脅されたと証言しました。
 これで徴兵されてしまったら、わざと最も危険な地域に送り込まれそうです。

 ロシア政府はすでに法改正をして、徴兵を拒否した場合、禁錮15年を科す方針を明らかにしています。
 地方政府は早くも召集令状の発行を開始。軍が設定した地方のノルマを満たすため当局が真夜中に家を訪問し、男性を強制的に連行しているケースも出てきました。ノルマ達成するかどうかが重要なのです。とにかく数をかき集めないといけない。地方の役人も必死です。
 
 今回の動員は部分的であり、学生は対象になっていませんが、デモに参加した大学生は退学になる恐れがあり、退学させられると、学生ではなくなるので動員の招集対象になってしまいます。

 モスクワの医師らも召集令状を受け取りました。こちらは軍医になり、野戦病院に送られます。

 ニジニーノブゴロドでは、徴兵事務所に火炎瓶が投げ込まれました。
 アムール州の徴兵事務所から、招集対象の男性1人が2階の窓から飛び降りて脱走。当局が捜索しているが、見つかっていません。見つかったら禁錮15年ですよ。

 ロシアではインターネット上で「腕を折る方法」の検索数が急増。 

 ロシア航空はとうとう、18歳から65歳までのロシア人男性へのチケット発売を中止しました。


 独立系放送局「ドシチ」は生放送で、司会者が徴兵事務所の担当者を装い、ペスコフ大統領報道官の息子ニコライ氏に電話。
「召喚状が送付されたため翌日の午前10時に健康診断を受けに来るように」
と伝えると、電話の相手は、自分はペスコフ報道官の息子だと名乗ったうえで出頭を拒否。
「私は別のレベルでこの問題を解決する。」
とも答えました。別のレベルとは・・・
 何でも、ロシア政府関係者は動員の対象になっていないそうです。ずるいね。
 国の税金から給料をもらっているんだし、大統領曰く「母国防衛のための動員」なんだから、政府関係者は率先して前線へ行けばいいのに・・・という意見があります。
 もし、ベラルーシでこのような事態が起こったら、おそらく大統領の三人の息子は真っ先に軍務に就くだろうなあと想像しました。
 

 ロシア国営メディアは部分的動員令が出されてから24時間以内に、召集令状の交付を待たず、1万人を超える志願兵が集まったと報じました。
 「志願兵ですよ、志願兵。それに引き換え、国外へ行ってしまうロシア男子は何と情けないことか・・・」と言いたいようです。


 ロシアとウクライナは21日、約300人を対象とする捕虜交換を実施。ウクライナの軍事情報機関のトップは、ロシアとの捕虜交換で解放されたウクライナ人捕虜のうち、拘留中に拷問を受けた人数は多いと話しました。
 ロシア大統領の友人で、国家反逆罪に問われていた元ウクライナ議員のビクトル・メドベチュク氏も今回の捕虜交換に含まれています。
 ウクライナ大統領によると、トルコ大統領との合意に基づき、アゾフスタリ製鉄所で抵抗していたアゾフ連隊の司令官を含むウクライナ将校5人については、トルコに移送されました。終戦まで、トルコ国内で保護されるそうです。
 他にもイギリス人5人、アメリカ人2人を含む10人がロシアからサウジアラビアに移送されたとウクライナ大統領は明かしました。

 ウクライナは総動員法が出ているんですよね・・・ウクライナとロシアでは人口も大きく違いますし。簡単にロシアの部分的動員と比較できません。
 釈放を餌に囚人を雇おうとしているロシアの民間軍事会社ワグネルと契約を結んだ受刑者は約3000人。
 ロシアの受刑者支援団体が、独立系メディアの取材に応じ、受刑者たちは10日間から2週間の訓練で前線に送られたものの、ほぼ全員がすでに戦死したと分析しています。