ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

2022年9月23日。ウクライナ侵攻から213日目

2022-09-23 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2022年9月23日。
 ベラルーシ大統領が弱気(?)発言です。
「ベラルーシでは動員はありません。」
とはっきり述べたのはよかったのですが、
「大統領職にうんざりしている。」
と発言しました。
 大統領として働き続けて30年になるとか、みんな「ほら、ルカシェンコだ。あとどれぐらい大統領をするんだろう。」と昼も夜も噂され続けることに飽き飽きしていると、マスコミ批判めいたことも発言しました。ストレスが溜まっているのかな・・・と私は思いました。
 さらに、もし権力が(現大統領から)他の新しい政治家に移ったらどうなるのか? 保証はあるのか?と問いかけ、
「もし自分が生き続けるなら、私はどのように生きるのか? 子どもたちはどうなるのか? 私がいなくなったらどのように生きるのか?」
と発言しました。
 この「子どもたち」というのは、自分の血を分けた3人の息子のことでもありますが、発言の流れでいうと、これを「国民」と翻訳しなくてはなりません。
 とにかく、大統領がベラルーシ国民の行く末を非常に案じており、そのため大統領職を延々続けているというような表現となっています。


 ロイター通信などがロシア産業貿易省の発表として報じたところによると、トヨタ自動車がロシア工場を閉鎖する方針を決め、工場は売却される可能性があるそうです。
 トヨタは3月、サンクトペテルブルクにある工場の操業を停止しており、西側諸国による制裁の影響で部品の安定供給ができず、ロシアへの自動車の出荷も見合わせていました。そしてとうとう閉鎖することを決定したようです。
 部品の供給の問題もそうですが、ロシアで動員が始まったら、工場労働者の多くが男性(18歳から45歳)という職場では、労働力不足になってしまい、操業が成り立ちません。
 これからロシアでは、特に男性が担っていた職場では人手不足になり、経済に深刻な影響が出てくるでしょう。


 ベラルーシ外相は、ロシアが西側諸国と戦争状態にある状況下では、自国の安全を確保しなければならないというロシア政府の懸念は、当然理解できる」
と発言しました。何だか、ベラルーシはロシアに寄り添う、という感じですね。
 しかし、ベラルーシは「ウクライナ紛争」をできるだけ早く終わらせることに関心があると強調しました。
 
 ベラルーシでも動員が始まったら、どうすべきか? 徴兵を逃れるには? といったアドバイスがSNS上で流れています。
 方法としては(1)外国へ出国する。(ロシアの法律では居住地に関係なく動員されるので、注意が必要です。)
(2)「私はベラルーシの現政権に反対です。私は反政府派です。」と主張。そして証拠を見せて、他国の人道ビザを取得。出国する。ただし、反政権的発言をしたことで、逮捕される可能性があるので注意。逮捕されたら、有罪判決を受けてそのまま服役。刑務所にいる間は前線へ行かなくて済む。(ロシアの法律では、逮捕された警察署で召集令状を渡されているので、この方法は勧められません。)
(3)持病のある人はそれを活用する。医者に「この人は疾患を持っているので兵役につけません」という診断書を書いてもらう。
(4)一時的にアル中や薬物中毒者になって、診断書を書いてもらう。アル中矯正施設に送られますが、治療中は戦地に送られずにすみます。しかし、健康上に悪影響があるのでお勧めしません、と多くの人が注意しています。
(5)わざと進んで動員され、ウクライナへ赴く。すぐに白旗を降って、投降し、ウクライナ軍の捕虜になる。(ウクライナに到着後白旗を取り出す前に攻撃が始まったら、すぐに命を落とす可能性があるのでリスクが高いです。)


 ロシアの動員に関する大統領令では、10の項目のうち第7項目が機密扱いになっていて、大統領報道官は「人数に関することだ」と述べるにとどめました。
 ロシア国防相は動員規模は30万人だと口頭で説明しましたが、独立系メディア「ノーバヤ・ガゼータ・ヨーロッパ」によると大統領府関係者の話として機密扱いの部分には「100万人を徴兵できる」と記されていると報じました。
 すると大統領報道官は報道は「嘘だ」と否定。

 大統領令に署名したら、その内容を全部公表するものですよ。どうして数の部分は隠すのでしょうか。
 私の想像ですが、この大統領令の内容をどうするのか相談していたときに、
「兵力不足だから勝つためにはあと100万人はいないとなあ。そのように書いてしまおう。」
「そんなことしたら、国民が動揺しますよ。伏せておいたらどうです?」
「そうするか。じゃあ、30万人とだけ、国防相から言っておいて、その後の国民の反応を見よう。大した反発がなかったら、100万人と公表するか。」
 国防相が「30万人」とぽろっと言っただけで、デモ発生、男性の国外脱出の激流が始まった・・・
「やばい。100万人ってすぐに言ってなくて正解だった。」
「でも、署名した書類に記した数字のこと、どうする?」
「言わないほうがいいよ・・・」
「そうだな。今のところは黙っておこう。」
 すると独立系メディアから、政府は隠し事をしている。けしからん、と騒がれ、ますます黙らざるをえない。そこへまたマスコミが、「ロシア政府の卑怯な態度」というイメージを宣伝してくれる・・・という悪循環になっているのではないでしょうか。

 動員の対象は軍務経験のある予備兵に限られると述べていましたが、独立系ニュースサイトの「メディアゾナ」は兵役の経験のないまま召集された男性について伝えたほか、複数の独立系メディアも医師や看護師などの医療従事者や大学生などが招集されていると報じています。


 ロシア人男性がリトアニアに越境して入国しようとしましたが、リトアニアの国境警備隊に阻止され、身柄を確保され、強制的にベラルーシ領のほうへ入れられたました。そのときのようすが動画で出回りましたが、道路で倒れているので、怪我をしている(国境警備隊が何かした?)ように見えます。
 リトアニアのロシア大使館はリトアニア政府当局に抗議しました。
 ちなみにこの事件は9月20日に起きたもので、ロシアの動員の前です。
 今、越境するロシア人が増えていますが、このようなひどい目に遭わされるロシア人男性がこれから増えそうです。