武 順子(Take Junko) ひとり語りのひとりごと

わがままな朗読家の我がままなひとりごと。「縁側の猫を枕に日向ぼこ」…猫が好き。詩を書く人でもあります。

2011年3月11日。前日は亡くなった親友の誕生日だった。

2011年03月16日 16時39分24秒 | Weblog
たまたまテレビをつけたら、揺れ始めた。
床に座ったまま動くことができなくなった。あちこちで物の落ちる音。台所の流しの奥に立てかけたまな板が、すうっと飛んで、床に落ちるのを目撃した。

ひとりであった。
誰に電話しようにも電話が通じない。
唯一、東京の実家にかけた電話だけが通じた。とりあえず父は大丈夫であった。母は外出中だったのでメールで父の無事を知らせた。
ひとりでいると、不安であった。
何もすることができずに、ハンドバッグを脇に、携帯と電話の子機とテレビのリモコンを持って、ソファにへたり込む。テレビを眺めては、じっとしていられず家の中をうろうろする。意味のない動きをしては、再びソファにへたり込む。テレビから目を離すことができない。

余震は続く。余震の中で、テレビが津波を映していた。実況中継なのだ。

次々と、あらゆるものが呑みこまれていく。リアルタイムなのだ。

助けてあげてよ!
ああああっ!!車が危ない!人が歩いている!早く逃げてよ!!

私が叫んだところで、無力だ。

辛かった。悲しかった。

今、こうして目撃しているのに、何もできないのだ。何もできないのだ。何もできないのだ。

以来ずっと、テレビから離れることができずにいる。離れていると、不安になる。

いろんな人の顔が浮かんだ。どうしているのだろう。無事なのだろうか。

怖かったろう。幼いころ海で溺れかかったときの私の記憶より、きっと何万倍も怖かったろう。

テレビでは、過ぎた映像が繰り返し流れる。私の中では、過ぎた映像に、なりえない。胸が痛くなる。


そして次は、目に見えぬ放射能の津波が、来るのだろうか。

私にできることは、ないのだろうか。

だから原発はいらないって、言っていたのに。…こんなこと今さらつぶやいたって
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