新潟久紀ブログ版retrospective

新潟暮らし推進課5「人口減少問題対策特別委員会で県議会答弁デビュー」編

●人口減少問題対策特別委員会で県議会答弁デビュー

 役所勤めで「本庁の課長職」になると、議会で議員の質問に対して答弁するという難儀な仕事が付け加わる。県庁においても、出向経験のある市役所でも、議場で行う「本会議」での質疑は部局長以上で答弁ということになるが、課長職は内容により全員又は特定の議員からの質疑を受ける「委員会」での答弁が出番となる。
 燕市出向時代には、企画財政課長として、議員全員から成る全員協議会ないし議員協議会という場で、事前通告なしの丁々発止の質疑応答に大変苦労したものだが(詳しくはこちら)、県庁は組織規模の大きさもあり、本会議はもとより委員会も事前に質問の骨子を通告していただくことが多い。会議や委員会の本番前に質疑と答弁が決まっているといえば興ざめかもしれないが、現場でいきなり質疑されて即座に応答ができなければ時間の徒費というものだ。質問に噛み合う答弁をより的確にできるようにすることは議員と執行部の双方にとってはもとより、そして県民にとっても有意だと思う。
 新潟暮らし推進課長に着任して県庁の課長職として県議会の委員会デビューするにあたっては、オーソドックスな委員会であるところの、四半期ごとに開会される議会定例会に設けられている常任委員会が、事前通告の方式でもあり望ましかったのだが…。その定例会開会の直前ごとのタイミングで開催される特別委員会というものが私の初の出番となってしまった。
 「人口減少問題対策特別委員会」。その名のとおり人口減少に関わる政策課題について特定の議員で構成される委員からの質疑へ答弁するのだが、これが事前通告なしの丁々発止というのが慣例となっていると聞かされた。人口減少問題と一言で言っても、県外への人の流出や少子化といった直接的な課題はもとより、生活や就労、教育など、定住や移住を増やしにくくしている課題の切り口は様々にあるので、この委員会は都度テーマを変えて関係する部局の長や担当課長を参集して開催されている。大抵の課長は担当の政策課題に関連する時にだけ参加して、限られた課題に関する質疑について答弁すれば良いのであるが、私が務める新潟暮らし推進課長は本県における人口減少問題対策の検討の取りまとめ事務局的な役回りになっていたことから、殆どの回に呼ばれてしまうのだという。年4回の県議会定例会での常設の委員会に加えて、場合によっては更に最大で4回も委員会に、しかも事前通告なしの緊張極まる場に呼び出されることになるのだ。
 最初の出番は着任早々1か月あまりの5月半ば。未だ前任者が手がけてきた昨年度までの仕事内容や経緯、関係資料等も読込不足の段階ではあるが、"けいこ不足を幕は待たない"とはこのことだ。居並ぶ20人弱の委員の一番手からの質問が私への"直撃弾"だった。若者を中心とした県外への流出の深刻化という社会減への対策について現場感ある取組みを求める質疑だった。
 想定問答の書面準備が手元に無い中で大変な緊張感に晒されるが、さほど躊躇なく答弁が口をついて出てきた。この3月まで企画財政課長として出向していた燕市役所勤めの経験の中から住民生活や地場産業などの雇用の現場など、答弁に資するイメージが次々と脳裏に浮かんできて、滑らかな答弁へとつながったのだ。
 内示を受けた時は「格下げ左遷か」と思われた市役所への出向を通じた経験が、この緊張の議会対応を救ってくれるとは。仕事での経験には、遠回りも無駄なことも何一つ無く、要は「自分自身でそれをどう活かすか」だということを改めて認識した。
 それにしても、質疑を通じて、何人かの委員から「進学や就職で東京に行きたがる子供達の気持ちは仕方ないこと」といった趣旨の発言が聞かれ、加速的に進む社会減の深刻さへの意識が共有されていない状況に少し危機感を感じた、UIターンや住み続ける人を増やすための社会的な意識醸成の必要性も垣間見た議会委員会デビューであった。

(「新潟暮らし推進課5「人口減少問題対策特別委員会で県議会答弁デビュー」編」終わり。県職員として11箇所目の職場となる新潟暮らし推進課の回顧録「新潟暮らし推進課6「新潟暮らし推進ネットワーク会議」編」に続きます。)
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