新潟久紀ブログ版retrospective

新潟暮らし推進課2「人口減少対策ワーキングチーム開催を前に大事件」編

●人口減少対策ワーキングチーム開催を前に大事件

【回顧11】4月に着任して課の仕事内容について具体的に担当から確認していくと、新潟県への移住定住を誘うUIターン促進関連のイベント等は、大方年間の予定組みを終えていて、企画や設営内容の調整を都度都度していけば良い状況だった。やはり、問題は新設される「人口減少対策ワーキングチーム」の進め方が全く乾いていないということであり、対外的にその取組をスピーディに進めると表明していることからも、方針を知事に早急に伺う必要がある。
【回顧11】ワーキングチームは、人口減少対策に関係の深い業務を所管する幅広い部局の担当課長により構成することまでは決まっていた。内外の関係者による構成ならともかく、県庁内部の課長達の集まりをことさら賑々しく打ち出して言うのはどうかと思う人もいるのではないだろうか。本来であれば全くそのとおり。知事の指揮のもとで全庁的な政策の企画調整を担う政策課あたりが各課の取組に横串をさして、主要な予算事業の査定や連携指示などを通じて実務的に調整していけばいいだけの話ではないか。
【回顧11】しかし、私は長い県庁経験から、良くも悪くも縦割りが染みついた役所の風土の根深さを知り尽くしていたので、ワーキングなどの仕掛けを設けないと横串が通らないことを呑み込めていた。新潟県職員のみならず役人というのは与えられた分野における取組に実に熱心に注力する。それは時に同じ役所の他分野の取組と噛み合わないことも往々にしてある。自分の部署の政策としての利益を背負って全力で仕事するあまり、他部署と仲良く連携調整というのは、建前はともかく現実的には容易ではないのだ。主要な施策の調整にあたる政策課、予算を査定する財政課、人事組織を調整する人事課といった庁内で強力な調整権を持つ部署であっても、知事と居並ぶ庁議メンバーたる部局長の下での課長たちの自主自立性はむげにはできない。なので、ましてやカネにもヒトにも権限を持たない弱小組織の我が新潟暮らし推進課がワーキングチームをどう取り回していくかなどは難問中の難問なのだ。
【回顧11】縦割りに加えて、良くも悪くもお互いの仕事に口を挟まないという姿勢もまた県庁内には広くあったので、ワーキングチームを開催して、単に意見交換させて施策の連携を促してもお互いに自身の政策をとうとうと述べ合うことに終始するに違いない。その内容も、「今でも十分にやっている」とか「我々の仕事としては関係性が低い」といった言い放ち型の発言が優に想定される。嘆かわしいと思われるかもしれないが勤勉な者どうしの集まりの行き着く先なのだ。
【回顧11】私は、各部署の取組を一覧的にまとめて、人口減少対策を考える観点で、隙間とか相互の不整合などを浮き彫りにする「見える化」を図り、そこからどの部署が何をすべきか、どのように連携していくべきかを議論できるようにしたいと考えた。関係部署も関連性があるものとして対象となる事業も多く、それらを一覧的で見やすい資料としてまとめ上げるのは大変な作業量であるに違い無い。それでも何の力も無い部署である我が新潟暮らし推進課が全庁的連携の音頭を取るには、客観的な資料に基づき論理的に県庁としての取組不足や庁内連携の必要性をあぶり出して、各課が対応せざるを得ないと各々で自覚させるような状況を作り出すほかない。
【回顧11】こうした考え方で進め方の案を整理し、いよいよ明日明日にでも知事に伺おうという段になってきた。知事は、私が燕市役所に出向している間の選挙で新任となった方であり、今までお話ししたことがない。医師であり弁護士でもある御方の凄さは如何にと、説明してやり取りすることを心待ちにしていたのだ。ところが、知事説明の日程調整をしている段階で、秘書課から連絡が入り、庁内全体として知事の日程調整は当面停止されたという。何事かと思案していたら、そのうちニュース速報が伝わってきた。「知事が辞任を急遽表明。女性問題で…」。驚きしかないとはこのことだった。

(「新潟暮らし推進課2「人口減少対策ワーキングチーム開催を前に大事件」編」終わり。県職員として11箇所目の職場となる新潟暮らし推進課の回顧録「新潟暮らし推進課3「UIターンコンシェルジュ・東京駅前での驚き(その1)」編」に続きます。)
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