新潟久紀ブログ版retrospective

新発田地域ふるわせ座談会16・「職能短期大学は即戦力育成」(その1)

●16(4)職業能力短大(その1)

 新発田地域振興局長として地域の勢力増進を思う時、この地に住み続けたり関わり続けたりしてくれる特に若い人を増やすことが最重要と考え、東京圏への流出に歯止めを掛けられないかとのヒントを探して、当事者たる就活適齢期の学生さんから話を聴き始めた。名付けて「地域振るわせ座談会」。
 地域内にある4年生私立大学である「敬和学園大学」「新潟食料農業大学」から始めたのだが、そうこうしていると、新発田市においては、元々が厚生労働省による設置で、正に就労に直結する技術と知見を備えるための学び舎である「新潟職業能力開発短期大学」があることに遅まきながら気が付いた。
 我が振興局では近くにありながらこれまで業務での関りが無かったという。「これは接触せねばならない」とばかり、すぐに短大視察のアポを取った。
 令和5年9月の半ばに「新潟職業能力開発短期大学」に訪れると、お忙しいだろうに植田学長さんご自身が丁寧にお話を聴かせてくれた。
 平成4年に創設され、「生産技術科」「電気エネルギー制御科」「電子情報技術科」「住居環境科」の4科で各々20人前後の定員による密着型の指導により、企業が求める即戦力となる人材の育成を30年続けているという。
 高校新卒者のみならず既卒者入学や企業従事者向け短期研修なども行っており、社会人経験者の学びなおしとか就業しながらスキルアップなども受け入れている。短大カリキュラム履修後に富山にある系列大学へ編入するなど進学する学生も増えていて、それら県外進学者も6割くらいは新潟県内に戻っているという。
 一人当たり10社程度と求人が多く、新発田市周辺の地元企業にも人材を送り出していて、もっと多く出して欲しいといわれているが、定員割れもしていて応えきれていない模様。
 実践的内容なので工業系高校卒業者が多いと思いきやそれは半分弱で、普通科からが半分以上で文系も多いということ。そんな中で、滋賀県のダイハツ、静岡県のスズキ、ヤマハ、ホンダ等への就職者もいると聞くと、教育水準と質の高さが伺い知れる。
 新発田市、胎内市、聖籠町とは商工会とのつながりでインターンシップ事業を行っているし、新発田市と胎内市の60社の企業が産業教育振興協議会を構成して、春先に合同企業説明会を開催するなど、当校を支援しているという。
 また、立地する新発田市の街なかの活性化にも協力的で、新発田商業高校生による菓子販売施設の家具を制作したり、先日我々が座談会をした「ISEZI」による郊外の空家再生のイベントへの参画や、新潟県の観光部署によるサイクルツーリズムの展開に併せて、新発田市内4か所にロードサイクル用のスタンド設置やマップ制作なども取り組んだという。座学で”理屈こき”になりがちな大学とは異なり、額に汗する”ものづくり”という目に見える形で地域に貢献している実学性と実践性を目の当たりにして、地域振興を考える上で強力なエンジンとパワーが足元にあることを迂闊にも今更ながらに知らされた思いだ。
 校長先生からお話を聴いたあと、同席した市来能力開発部長さんから校内を案内してもらうと、明るく清潔でゆとりがある各科の教室と、私の様な素人でも興味が魅かれる多様な教材やオブジェの数々に、恵まれた修学環境ぶりが体感できた。さすが国設という感じである。このような貴重な施設が県都ではなく新発田地域に立地された経緯を後で知りたいものだ。
 廊下を歩きながら掲示板に目をやると、企業からの求人票が枠からはみ出すほど一面に張られている。見れば全国区や新潟県内において名の知れた優良企業も多くて思わず立ち止まって食い入るように見てしまう。
 実践力を短期間で身に着けられる優れた教育機関があり、地元の優良企業がそこからの人材を喉から手が出るほど多く求めているのに、入学者が定員割れとは。そして、地域外へ出て行ってしまう者も少なくないとは。残念で仕方がない状況をどうすれば打開できるのか、座談会を開いて在学生からナマの意見を聞き出したくなった。

(「新発田地域ふるわせ座談会16・「職能短期大学は即戦力育成」(その1)」終わります。続きは近く掲載します。)
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