新潟久紀ブログ版retrospective

新発田地域ふるわせ座談会17・「職能短期大学は地域の財産」(その2)

●職能短期大学は地域の財産(その2)

 新発田市に立地している企業人としての実践的スキル習得の場である「新潟職業能力開発短期大学」の学長さんにお願いして、学生さんとの座談会を計画したところ、全4科から一人ずつの出席を調整していただけた。少人数とはいえ短大なのでカリキュラムが立て込む中で授業の合間に参加できる学生を各科からもれなく集めてくださることに恐縮至極だ。
 短大校舎の会議室を用意していただいて、私と4人の学生さんがコの字型で座ると、授業の都合で正味50分程しかないので、座談会の趣旨もそこそこに、一人一人からお話を聴き始めた。
 「電気エネルギー制御科」の2年生の男子Iさんは、出身の胎内市に愛着が深く実家から通学しており、新潟市内の大手企業に内定したが、引き続き胎内市から通いたいというから嬉しい。車が好きでそこで使われている電気に興味があって職能短大を選んだという。地元の普通高校出身なので慣れない授業内容に最初は苦労もしたが理解できるように学ばせてくれたという。なんとなく普通高校に行って進路を偏差値で仕分けされて大学に誘導されるような環境に居づらさや違和感を持っている高校生は少なくないハズなので、こうした進路事例を情報発信したいものだ。
 「住居環境科」は建築デザイン系の学科で、2年生の男子Jさんは、新発田市出身であり地元中堅企業への就職受験中ということ。彼も高校普通科で学んだが、とび職の親の背中を見て育ったせいで建築に関心をもち、職能短大を選んだとの事。学ぶうちに興味はインテリアに向き、卒業制作では椅子のミニサイズ模型を製作し、来る秋の文化祭では模型家具の組み立て体験を企画しているという。ものづくりの面白さを他者にも伝えようという姿勢に感心する。普通科高校卒ゆえに当初は建築用語などに苦戦したが、少人数指導のおかげで助かっているという。彼も、将来目標が見えず世の中にたゆたう中高生等への進路の等身大の参考事例になり得ると思う。
 「生産技術科」はいわゆる機械製造系の学科で、2年生の男子Sさんは、新潟市出身で新発田南高校工業科に通って機械加工を学んでいたが、設計などに興味が出て幅広に学べる職能短大へ進学したという。探求心が深まり、富山にある系列の「北陸職業能力開発大学」の応用課程への来春進学を決めている。
 中々に辛口の論者であり、新発田市の街なかに若者が残らない理由については、「街には、働く、遊ぶ、住むの3つの視点があると思う。若者が住む街は働ける街でもあるが、新発田市には若者が魅かれるような大きな企業がなく”働ける街”になっていない。車社会の割に街なかに駐車場が少ないこともマイナス」などと手厳しい。関連して別の者から「新発田市は、歴史的なスポットは多いが若い人が魅力を感じられるようなものにはなっていない」とか、「遊ぶ場所が少ない」といった声が出ると、皆が頷く感じだった。Sさん自身は、新潟駅周辺くらいならなんとか許容できるとも言うので、せめて大学卒業後は出身地である新潟市にでも戻って貢献して欲しいものだ。
 「電子情報技術科」の2年生男子Aさんは、新発田市出身だが、高校の同級生で仲良くなった前述のSさんと共に職能短大へ進学し、来春も同様に北陸職業能力開発大学に進学を決めているという。コンピュータのプログラミングに興味が出て入学したものの、全く初めての分野で苦労したが、理解できるように学んでこれたという。卒業制作で商店街を紹介するアプリを開発しているといい、歩きながら店舗や商品、街の見どころなどの案内が3D画像でリアルと重ねて見られるようにしたいとのこと。閑散とする新発田市の街なかの活性化に貢献したいという意欲も感じられるので、「ふるわせ座談会」の今後の展開にも関わってもらおうと思う。
 それにしても、意外にも普通科高校から進学して、それまで全く未知だった専門的で実践的なものづくりの世界に飛び込んだ者が、初度にそれなりの苦労はあるものの、理屈主体でなく面白さを体感しながらの実学的な教えと、一人一人のレベルの違いにも丁寧に対応できる少人数指導などにより、2年という短い期間で企業現場で通用する人材に育て上がるこの機関の凄さがもっと地域内外に知られて、若者を新発田地域に呼び込み住み続けさせる装置にしなければならない。
 あっという間の50分の間に、国の設置による新潟職業能力開発短期大学校の学生さんから、実践的スキルを得て名の知れた県内企業への就職内定や、富山にある系列大学校へ編入予定などと将来が楽しみな話がたくさん聴けて嬉しかったが、求人が多く大卒資格まで目指せるのに定員割れしているのはとにかく残念で仕方がない。新発田地域に縁を深める若者が増えるよう内外へのPRに尽力したいと決意した。

(「新発田地域ふるわせ座談会17・「職能短期大学は地域の財産」(その2)」終わります。続きは近く掲載します。)
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