新潟久紀ブログ版retrospective

土木部監理課5「現地視察は独自企画で一人行脚だ」編

●現地視察は独自企画で一人行脚だ

 平成26年度の土木部監理課への転入は、私にとって初めての土木部への赴任であると同時に、土木部長も新任者に交代した年であった。部長は土木の技術職なので、土木部全体を統括する主管課である監理課に在籍したことがあるし、土木部のことは出先機関も含めて隅々まで承知してはいるのだが、部長としては当然のことながら初めてということもあり、春先から夏場にかけて出先機関の現場周りの日程が組まれることとなった。
 よく聞くと、部長の新任如何に拘らず毎年、部長または副部長を筆頭にして本庁幹部が出先機関をまわり、現地で状況視察と出先機関の職員達と意見交換をするのが恒例になっていたようだ。私も同行してはどうかと設営担当から声掛けがあったのだが、部長又は副部長と企画主幹、関係係長などが参列する現地視察の企画にどうも違和感を感じた。上下関係の明確な組織においてトップが現地に入れば、大名行列よろしく現場は畏まった対応を準備するだろう。部長に同行することはその威の傘の下で現地の幹部から気遣われて表面的なやりとりに終始するのではないだろうか。私は、公共工事や自然災害の対応の最前線である現地にどうせ行くならば、形式的な説明でなく実務的な本音や裏話を聴き取る場にしたかった。
 監理課執務室内で隣に座る監理課長を兼ねる副部長に、私は個別に現地視察の日程を組みたいと相談した。一人で自家用車で現地を訪れ、お膳立てされた説明や視察の内容ではなく、実務担当者達から聴きたいことを聴き取り、自分なりに現場箇所の軽重や濃淡を考えた上で時間配分して見て回りたいと申し入れた。
 副部長は「変わったことを言い始める奴だなあ」というような表情を浮かべたが、結果としては好きにさせてもらうことで了承を取り付けた。課長補佐とは言え課長級管理職である私の発意を尊重してくれたようだ。ただ、出先機関にしてみれば、部長や副部長の視察団と私の視察の対応で二度手間を掛けるわけだから、そこはあまり負担を掛けないようにとの釘をさされたが…。
 それは、もとより私の心得るところであった。地域機関の幹部が時間を示し合わせて会議室で待ち構える部長視察とは異なり、その地域で特に課題となっていることを予め調べた上で、抽出した事案に関わる担当者に絞り込んで、その職員の都合の良い時間帯に訪問するように段取りした。現場の視察も、一人で自家用車で行き、現場工事事務所担当者や施工業者などからざっくばらんに話を聞くように調整した。
 かくして、独自の方法による私の現地視察は、夏前から3か月程度をかけて県下13箇所程度の出先機関を全てを回り終えた。前例のない主管課の事務担当参事一人による訪問について行く先々で不思議に思われたが、「土木部職員の労務管理を担当する立場で、各々の出先機関における業務内容や現場状況を詳しく承知するためです」と話すと、「そんなものですか」と受け止められて、その後はスムーズに聴き取りができたものだ。
 管理職になると2年程度のスパンで異動するのが大方だ。私は、せっかく初めて着任した土木部という世界を、限られた勤務期間において出来る限り知り抜きたかった。そして、郷土の保全に関わる公共事業の現場視察を通じて県内各地の地理的状況や自然環境等に詳しくなっていくことが、定年まで残り10年程度になるとはいえ今後の仕事においても、また、プライベートで何らかを行う上でも、必ず奏効するに違いないと考えていた。

(「土木部監理課5「現地視察は独自企画で一人行脚だ」編」終わり。「土木部監理課6「組合交渉に向けて真夏の道路パト体験(その1)」編」に続きます。)
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