さくらんひめ東文章

指折って駄句をひねって夜が明けて

国立文楽劇場開場三十周年記念 七世竹本住大夫引退公演 文楽五月公演

2014年05月26日 | 劇♪場♪



住大夫さんの引退公演千穐楽を拝見した。






演じるみなさんも拝見する観客もこれほど想いのこもった公演はおそらく今後しばらくないであろうと思った。


そしてその場に居合わせることができた幸運にただただ感謝するばかり。





いろいろと胸に迫るものがおありだったろうが、いつものように情感豊かに様々な人物を語り分けた住大夫さん。


松羽目物の舞台上でのご挨拶では、厳しく指導してくださった先輩の方々や


急な引退を快く受け入れてくれた文楽協会、そして文楽を愛するファンに感謝の言葉をのべられた。


二ヶ月にわたる引退公演を終えた達成感・充実感もおありだったろうが、


やはりただひとすじに歩んでこられた文楽の舞台から去られる寂しさや悔しさも大きかったのではないだろうか。


蓑助さんからの花束の贈呈があり、ご苦労の多い時代をすごされたお二人が手をとりあっておられるのに涙が溢れてとまらなかった。


戦後の混乱の中、分裂していた文楽が財団法人文楽協会として出発した際には


大阪府も大阪市もかけがえのない文化財を守っていく責務を認識していたはずであるのに


わずか50年ちょっとでとんでもない事態におちいってしまった。


こんな事さえなければ、私たちは住大夫さんの舞台をまだまだ拝見出来ていたはずなのに・・・


そんなことまでが頭によぎってしまったが、


「文楽」、「太夫」というものはかくあるべきとその芸の道を通して


私たちにその真髄を明かしてくださった住大夫さんに敬意と深い感謝の念を捧げたい。






今後も健康にご留意されつつ後進の指導に益々ご活躍されることを願ってやみません。