8月31日に、川内原発再稼働反対デモに参加した人の中に、台湾から来ている人がいました。
台湾の脱原発団体「原発廃止全国ネットワーク」代表、チェ・ツーシンさんです。
台湾には、現在6基の原発がありますが、第4原発は建造されたもののまだ稼働されていません。
それを止めたのは、彼女たちの市民の力です!!
彼らがどうのようにして、原発の稼働を止めたのか、とても参考になるスピーチです。
《文字起こし》
みなさん、こんにちは。
私は、台湾の反原発団体の一つ、グリーン○○アクションアライアンス(原発廃止全国ネットワーク)代表、チェ・ツーシンです。本日は川内原発の反対アクションに参加できて本当に光栄です。
台湾は、1970年代から原発の導入を始め、3か所の原発を建造し、現在6基が稼働しています。ですが、1980年代、第4原発建設の際、現地住民から大きな反対の声が上がり、台湾で全国的な反原発運動が始まりました。現在までの30年間の戦いが、第4原発の工期を遅れさせ、第4原発はいまだに稼働できない状態です。
台湾の人々は、2011年の福島原発事故を目の当たりにし、これは政府が補償したり責任を負うことが出来ない災難だとハッキリ認識しました。福島原発事故の真相に関心を寄せ、理解することは、台湾人にとって大変おおきな意義のあることです。なぜなら台湾の原発政策はもっとお粗末で、原発は老朽化していて近くに断層もあるからです。原発の周囲30km圏内の人口は650万人にも上り、事故が起こっても避難は困難な状況です。
2011年から台湾の反原発運動は、再度、高まりを見せ、反原発デモに参加する人数も増えてきました。2013年3月9日の全国原発廃止デモでは、22万人もの人が集まり、原発廃止への大きな力を示しました。100以上の民間団体が原発廃止全国ネットワークを共同で組織し、大規模な交流を進め、正義の無い原発政策に最後まで戦い抜くことを世に知らしめました。
しかし、こともあろうに政府は、2014年の下期に第4原発の試運転を始めると発表しました。そこで3月9日、私たちは8万人規模の全国反原発デモを行い、非協力運動を提唱し、非暴力で平和的な手段で、政府に第4原発の停止を迫ることを決定し、各界の賛同を得ました。
4月22日、長年、民主運動と反原発運動に関わってきたリ・インション氏が、73歳のご高齢ながら無期限の絶食を宣言し、政府に様々な形で積極的で効果的な圧力をかけようと呼びかけました。
そのすぐ後、私たちもソウトウフ前広場の無期限占拠を開始し、4月27日原発廃止ネットワークは、5万人の街頭抗議を呼びかけ、タイペイ駅前の主要道路に横たわって道路を占拠し、道路封鎖抗争を行いました。そして政府に、台湾に原発は要らない、人民は自分の未来を決めることが出来る、と告げました。そして次の日の朝、即ちリ・インションさんの絶食8日目に、政府はついに第4原発の工事停止を正式に発表しました。
台湾の反原発運動は、既に30年間続いており、様々な方法を試み、政府に人びとの訴えを聞くように呼びかけてきましたが、政府の反応は消極的で、原発推進の態度を変えないために、民衆の大きな怒りを買っていました。
体制と法律が権力者の独断独行の道具に成り下がり、もっとも基本であるはずの人々の生存権と選択権を抑圧しています。体制を隠れ蓑にした権力者の職権乱用にはもう耐えられません。この国の主人は私たちです。
原発は必要悪ではなく、耐える必要のない悪です。権力者の力の源は、人々の服従と協力です。権力者の抑圧と独裁への反撃は、人々が立ち上がり様々な不服従・非協力の方法で、抵抗することです。人びとの協力を阻む決心が固ければ、権力者に巨大な圧力をかけることが出来るでしょう。
みなさん、私たちが立ち向かっているのは、同じ敵です。原発再稼働を推進する勢力は、また台湾にも現われるでしょう。権力を持つ原発擁護者たちに、私たちの悪夢を再現させてはなりません。
日本のみなさまが、非協力運動の精神を発揮されることを願ってやみません。行動で示すしか新たに選択するチャンスは与えられません。これは平和的でゆるぎない声です。弱者である私たちが体で示す抵抗であり、行動で現す訴えです。
今後、私たちは、原発ゼロ、新しいエネルギー政策への転換を訴えていきます。原発がこの世から無くなり、私たちが勝利するまで、全世界の反原発の人々と団結していきたいと思います。
みなさん、ありがとうございました。原発ゼロ、……、原発ゼロ、……。
(み)