いのち・未来 うべ

わたしたちは、原発のない安全な未来を
子どもたちに残すことを願って活動しています

【修平の話題提供】韓国古里原発の危険性   崎田修平さんから

2014年09月20日 | 脱原発

 

 

                古里原発の写真。ハンギョレ新聞から転載しました。

                     http://japan.hani.co.kr/arti/politics/18135.html

 

「原発10のウソ」につづいて、崎田修平さんの話題提供を掲載します。

専門の材料工学の観点から韓国古里原発の危険性を指摘しています。

韓国の脱原発運動と手をつないで、危険な原発の停止・廃炉を早めたいと願います。

また、そのためにも、鹿児島県川内原発の再稼働を阻止する声を韓国にも届くほど大きくあげることが必要だと思います。

9月28日 鹿児島市天文館公園に、宇部山陽小野田からバスで行きましょう。

 

なお、文中にある市民学習会での話題提供とは、金曜ウォーク後の市民学習会のことです。

昨年度は、毎週ペースで開いてきましたが、今年度から月に2回 第1、第3金曜日に行うことになりました。

近日、プログラムなどを発表します。

参加希望の方、また調査や勉強の報告を希望される方は、連絡ください。

 

 

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              韓国古里原発1号機の危険性          

                          いのち未来うべ 田修平

            

 韓国・古里(コリ)原発と言えば、今年(2014年)825日、釜山・慶南地方を襲った集中豪雨のために稼働中だった2号機が浸水し、地下の配電盤の水没により翌日までほぼ丸一日停電状態になり、その間機能を失う事故を起こしたことが報道されました。古里原発は、釜山から北東約30キロの日本海沿岸に位置し、”日本一危険”と言われる九電・玄海原発1号機がある佐賀県玄海町までは230キロほどの距離にあります。

 古里原発1号機は、19784月に運転を開始してから36年経つ韓国で最も古い原発で、経年劣化の進行が懸念されています。原子炉の形式は加圧水PWR 型(玄海原発と同じ)で、メーカーは米国ウェステイングハウス社です。

 これまでに起こした重大事故としては、201229日、定期点検中に外部電源が停止し、非常用ディーゼル発電機も作動しない全電源喪失事故があります。このとき、所長は原子力安全委員会に報告もせず、所員に箝口令をしいて事故発生を隠蔽したまま、翌月34日に再起動させました。このことが312日になって発覚し、安全委員会はただちに1号機の停止を命じました。この事故の最初の原因は、下請け企業の作業員が規則どおりに作業をしなかったため、外部電源が切断されてしまったことのようです。

 その上、非常用ディーゼル発電機も高圧弁の作動不全により起動せず、全電源喪失に至ったのです。発電所の職員と更新部品の納品業者がぐるになり、中古品が納品されていた疑いがあるそうです。しかし、それでも、4カ月後(2012年7月4日)には再稼働を始めました。そして、昨年(2013年)1128日には、タービン系統の故障によりまたも稼動中断を起こしましたが、この時の稼働停止回数は実に130回目であったそうです。さすがに運転再開はむつかしいとみられています。

 当1号機は稼働開始が1978年ですから、2007年に設計償却期間の30年が過ぎ、10年間の再運用(40年まで寿命を延長)が申請され、承認が下されていました。しかし、再運用承認の過程では、原子炉圧力容器の安全性が脆弱だという問題が厳しく指摘され、2012年には‘古里原子力発電所1号機稼動中止仮処分申請’抗告審裁判が行われました。その過程で、原子炉圧力容器の安全性について、やはり危惧すべき問題がいろいろ見えてきました。

 中性子照射を受けて圧力容器が脆化することは、いのち未来うべの市民学習会で、話題提供「玄海原発と脆性破壊」でもお話したとおりですが、古里原発1号機も”日本一危ない”玄海原発1号機以上に脆化が進んでいると言えます。容器鋼の脆化の代表的指標として「延性脆性遷移温度(DBTT, ℃)」が使用され、この値が高いほど危険と判断されます。古里原発1号機の場合、1978年の稼働当初DBTTはマイナス23℃でしたが、1999年(稼働期間21年)後はプラス107.2℃となっていました。

 ちなみに、玄海1号では1975年当初値マイナス16℃が2009年(稼働期間34年)でプラス98℃ですから、古里での脆化が速く、程度も進んでいると言えます。さらにもう一つの脆化指標であるUSE値(上部棚吸収エネルギー、J(ジュール)、これは低いほど危険)も古里:54.9(稼働期間21年)に対して、玄海:81(稼働期間34年)です。このUSEの世界的な許容基準値は68ですから、古里はこれをかなり下回っているのです。

 中性子照射の脆化は原子炉内に納めた監視試験片を使って評価されるのですが、炉内に置かれた位置が原子炉容器壁面より内側にあって、それだけ厳しい中性子線に晒されるために、それを補正する倍率係数が使われます。寿命延長の可否裁判においても、その倍率係数の値と見積り法が攻防の論点になりましたが、韓国原子力研究院側は寿命延長に都合の良い値を主張するばかりで、その合理的な説明は行われませんでした。

 以上の古里原発1号機だけでなく、韓国には23基の原発があり、多くは稼働している状況です。フクシマ事故を教訓に原子力神話を脱し、脱原発が進むよう願うばかりです。

                             (2014/09/19)

 

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