いのち・未来 うべ

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原発事故の当事者とは、誰か?地元で「52円の住民投票」の呼びかけ

2014年09月27日 | 脱原発

いよいよ明日、28日 ストップ川内原発をかけた鹿児島行動です。全国集会です。

鹿児島県では、新聞、テレビで、「原発事故の地元はどこか」が、問題になっています。

鹿児島県知事は、鹿児島県と薩摩川内市が「地元として同意」すれば、再稼動は認められるという立場です。

こに対して、南日本新聞が社説で再考を訴えています。

テレビ各局も、菅直人・元首相の発言を紹介して「30キロ圏内」を紹介しています。

 

宇部市で「小野湖の水をまもる会」が産業廃棄物の処分場を隣の美祢市(小野湖の上流、水源地)につくる計画があがったとき、当初の産廃の取り扱いでは、「施設から500m」ということでした。でも、それはひどいという住民の抗議と実際上の被害の検討から次第に拡大され、「近隣自治会の同意」という段階を経て、今は運動側の理解としては、「水源として利用するすべての市民」という認識になっています。まだまだ論議のあるところですが、少なくとも「被害の及ぶところ」という原則は、産廃設置の場合、不動だと思われます。

 

さて、原発事故の場合は、どうなのでしょうか。

被害は、どこまで及ぶと考えたらいいのでしょうか。

福島事故の場合は、5キロ、30キロと小出しに行政的な複雑な危険区域の設定が行われました。

アメリカ軍・アメリカ大使館は、80キロを避難区域に設定したと伝えられています。事故当時、実質的には日本からの脱出を勧告しているから、もっと厳しい基準を用意していたと思われます。

今年5月に出された福井地裁の大飯原発差止訴訟の判決では、250キロ圏内を当事者として認定しています。その根拠は、福島の事故の最悪の拡大シュミレーションです。福井地裁判決でも、海洋や地球大気全体に及ぼした影響を考えれば、世界から甘いと指弾されるでしょう。台湾、韓国の人々が危機感をもって、再稼動反対を訴えていることも当然です。

偏西風に乗ったプルームの拡散シュミレーションはあるのでしょうか。

複雑な想定よりも、この単純な図を人々は真剣に考えることが必要ではないでしょうか。

 

 

そういう意味で、当事者は、日本国民全部、とくに西日本の住民は、自覚の有無にかかわらず当事者です。

福島・東日本からの避難者が異口同音に言っている「東との温度差」「危機感の無さ」にきちんと耳を傾けるべきだと思います。

私たちが、山口県からあえて大型バスを仕立てて鹿児島まで行く意味も、そこにあります。

 

そんな議論を踏まえたうえで、さらに原発直近の住民のみなさんのプレッシャーは大変なものだと想像できます。

8月31日に川内現地で行われた現地集会・デモの帰りに、マイクロバスで少し時間をとって原発周辺まで仲間と行きました。周囲は金網に遮られていて、原発PR館もその日は休みでした。一番、驚いたのは、道の狭さでした。普通の片側一車線です。「道路立県・山口県」の視点(偏見)かもしれませんが、こんな整備で「原発を建てさせたのか!」と驚きました。数カ所、橋もありますが、自衛隊などの大型車両が本当に通過できるのだろうか、と車内で疑問が出されていました。

写真や細かなデータを示せればいいのですが、撮っていません。こんど、川内原発の直近まで行く人は、ぜひよろしくお願いします。

ちなみに、グリーンピースの優れた現地避難計画の実地調査があります。

そのような状況のなかで、こんな看板を見ました。

写真を撮り損なったので、転載させていただきます。「原発とは共存できない」という看板もありました。

 

 

       

   「旅するジャーナリスト大芝健太郎のブログ。」から転載させていただきました。

   http://shibaken612.blogspot.jp/2014/08/blog-post_5.html

 

 

最後に、自治会のみなさんの住民投票のアイデアを紹介します。

「52円の住民投票」です。

川内原発:再稼働、はがきで賛否募る 薩摩川内市の有志 /鹿児島

http://mainichi.jp/area/kagoshima/news/20140925ddlk46040388000c.html

毎日新聞 2014年09月25日 地方版

  九州電力川内原発の再稼働を巡り、薩摩川内市の市民有志が呼びかけ人になり、市民からはがきで再稼働の賛否を募っている。はがきを各戸に配布し、賛否を記してもらい郵送で集めるという。 

 「52円の住民投票」と名付け実施。薩摩川内市内の有権者が対象で、配布したはがきに賛否や意見を記し、52円切手を貼って投函してもらう。専用のはがきを配布するが、官製はがきに賛否を書いて郵送しても受け付けるという。

 呼びかけ人の一人で、再稼働反対の陳情を市議会に出している山之口自治会の川畑清明会長は「市民の本当の気持ちの受け皿となりたい」と話している。 

 宛先は「〒895?8799 川内郵便局 私書箱27号」の「再稼働していいの?『52円の住民投票』の仲間たち」。問い合わせは川畑さん090・8225・0988。【宝満志郎】

日本に民主主義は根付いていない、という議論がよく行われますが、地域には地域に根ざした民主主義の表現があるのだと思います。百姓一揆の各地の伝統が、そんなに簡単に消えてしまうとは思えません。「草の根のファシズム」ともいうべき原発立地帯周辺の住民組織化にあらがって、正しいと思うことを堂々と主張されていることに、本当に頭が下がります。ここに脱原発の道、原発に頼らない社会への道があるのだと思います。(文責・安藤)

 

参考記事など

◯南日本新聞 社説 [川内原発の地元] 事故前の範囲でよいか

http://373news.com/_column/syasetu.php?ym=201409&storyid=60110

川内原発は県や9市町が九電と協定を結ぶ。だが、施設の増設・変更の事前協議や立ち入り調査ができるのは、県と薩摩川内市だけだ。周辺自治体は県の立ち入り検査時の同行などにとどまる。これでは協定は名ばかりにすぎない。 川内原発は再稼働第1号と目される。ならば国はまず、周辺自治体も安全性を確認できるような法整備から取り組んでほしい。

 

◯菅元首相「地元同意は30キロ圏内自治体」(鹿児島県)

http://www.kyt-tv.com/nnn/news8725418.html

 ◯「菅元首相 来鹿 伊藤知事の姿勢を批判」南日本放送 [09/26 18:13]

◯【動画】菅直人元首相「同意は30キロ圏自治体」KTS鹿児島2014年09月26日


◯ 川内原発:再稼働 避難計画の問題点指摘 自治会長、参考人で意見陳述??薩摩川内市議会原発特別委 /鹿児島

毎日新聞 2014年09月26日 地方版

http://mainichi.jp/area/kagoshima/news/20140926ddlk46040270000c.html

 

◯川内原発:再稼働 全49県議に質問書郵送 最大会派、自民35人無回答 県公開質問の会「政治家の在り方問題」 /鹿児島

毎日新聞 2014年09月26日 地方版

http://mainichi.jp/area/kagoshima/news/20140926ddlk46040264000c.html


◯ 読売新聞 熊本版

熊本県から 被曝対策など国に要望書 川内原発再稼働巡り県と4市町

http://www.yomiuri.co.jp/local/kumamoto/news/20140925-OYTNT50123.html


◯グリーンピース 避難計画の現場実地検証

http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/pdf/20140610_evacuate_test.pdf