のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

『ジパング展』

2011-10-03 | 展覧会
忙しいのが一段落したので、高島屋で開催中の『ジパング展』へ行ってまいりました。

ZIPANGU / ジパング展 official website

玉石混合の感はございましたが、思ったよりも楽しめました。
思ったよりも、とは、そもそもの期待があまり高くなかったからということもございます。東京ではたいそう好評を博したというこの展覧会に、何故期待度低めで臨んだかと申しますと、本展公式サイトのトップページに表示される幾つかの作品を見た時、ああなるほど、いかにも「日本の現代美術」っぽいや、と何だかしらけた気分になってしまったからでございます。

と申しますのも-----ワタクシはその道の専門家でも何でもない一介の美術好きですから、単なる印象で申すのですが-----、ひとり奈良美智や村上隆のみならず、日本の若手アーティストの作品には、インスタレーションはまあ別として、「古典のパロディ」「アニメ・漫画的造形」「キモかわ、コワかわ、グロかわ」、そしてモチーフとしての「少女」の氾濫傾向があるように思われるわけでございます。そしてワタクシの目にはこうした傾向があまりよいものとしては映らず、かつ本展公式サイトのトップに現れる作品というのが、まさにそうした流れの真ん中を行くものと見えたからでございます。
上記の傾向を全否定するつもりはございませんが、もはや石を投げればキモかわに当たり犬が歩けば少女につまづくとでも申しましょうか、とにかく「またこれか」感が否めない所まで来ているというのが率直な印象でございます。

本展に足を運んでよかったことは、そうした傾向の中にあってもなおパンチ力のある作品が生み出される余地はあると分かった点でございました。
してみると上に挙げたような傾向そのものよりも、その安易な適用ぶりこそが嫌なのかもしれないなあとも思った次第。