のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

『エルンスト・バルラハ展』3

2006-03-03 | 展覧会
3/1の続きでございます。
ドローイング、木版画、石版画、陶器にレリーフと、いろいろな媒体の作品が展示されておりますが
何と申しましても、目玉は木彫作品でございましょう。
のろはとりわけ、 手 の表現に、たいへん心惹かれました。

ドイツ、木彫、といったらリーメンシュナイダー↓が思い浮かぶのですが
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この方の作った 手 は、生身の人間が石化ならぬ木化したかのような生々しさと同時に、
生身の人間には保ち得ぬ聖性を持って、見る者の心に迫って参ります.

バルラハの造形は単純化を旨としており、その 手 も決して造形的に「生々しい」ものではございませんが
深い感情のこもった、実に生き生きとした手でございます。
思わず両の手で握りしめたくなるような
握りしめたならきっと、木肌の下に温かな血の流れを感じるのではないかと思わせるような
手の表現なのでございます。

人物の身体はみな、ミニマルな皺の刻まれた長衣に包まれています。
「復讐者」という作品では
衣は人物の感情に呼応して、力強く鋭い線を描き
衣それ自体が 復讐者の太刀のようです。



しかしほとんどの作品においては
衣は、人物の身体をしっかりとくるみ込んでいます。
あたかも、苦しみを 憧れを 感情を 押し包むかのように。

そこから突き出た 手 には。
万感の思いが込められています。

天を仰ぎ、憧れる 手 
案ずる 手 
求める 手
ギターの弦を押さえる指先。
果物の皮を剥こうと、ナイフを握る 手
休息する 手
恐怖する 手
決断する 手
闘う 手
守る 手

その 手 の
温かさ よるべなさ 
懊悩の深さ 憧れの強さ 祈りの静謐さは

見る者の心を強く惹き付けずにはおりません。

今回の展覧会は、地元欧州でもなかなか無いほどの規模とのこと。
行かねば損、でございますよ。


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