ユニコムかつしかつれづれ日記

NPO法人ユニコムかつしかのパソコン教室活動などのよしなしごとを、そこはかとなくゆるりと書きしるしてまいります

幻の遊女と萩と月

2016-05-24 | 日記

 

明け方4時。

薄明るくなった南西の空に月が低く浮かんでいました。

満月のよう丸く、そして淡いオレンジ色の月でした。

 

秋冬のしろがね色の月と違って狂気は感じません。

吸血鬼になる気分でもなく、寝床にもどってまたひと眠り。

「一つ家に遊女と寝たり萩と月」芭蕉

 

越後の市振、同じ宿に二人連れのあでやかな遊女がいあわせた。

宿に咲く萩を月が照らす。萩が自分で、遊女が月か・・・。

 

「わたしたち心細く悲しいのです。お坊様の情けかけて、どうぞ仏の恵みを」

朝になって、遊女二人から同行を求められる芭蕉翁。

「わしらの旅は、あちこちへいったり、ひとところで長く泊まったりするでのう」

 

冷たいぞ、芭蕉翁。功徳が足りない。

暇田翁なら曽良など放って喜んで同行するものを・・・あんたならお呼びではない?

断った芭蕉、しばらく不憫で気にかかった、と記録しています。

 

遊女の抜け参り。店には無断で抜け出してお伊勢参りに出かける。

越後の新潟から伊勢へ、ただ、ひたすら歩く・・・行き帰り、どのくらいかかったのでしょう。

一生に一度の伊勢参り、店にも功徳があるというので、黙認だったとか。

 

昔、西行が大坂で一夜の宿を借りた。

中から遊女が出て来て、歌のやりとりで泊める、泊めない・・・。

それですっかりうちとけた二人は夜を徹して語り明かした。

 

どうやら芭蕉翁、そのことから、この市振の句を創作したらしい。

幻の遊女と萩と月・・・不憫ですなあ。

そんなことを思いながら、いつの間にか眠ってしまいました。

趣味ぶろ教室ブログランキング


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする