銭湯などの壁画を手掛ける「ペンキ絵師」を目指している東近江市の山本奈々子さんが、東近江市八日市本町の「延命湯」で、絵師デビューを飾った。
定番の富士山ではなく、湖国の名所を描き上げ、「銭湯には絵があるという昔ながらの風景を残していきたい」と意気込みを新たにしている。
定番の富士山ではなく、湖国の名所を描き上げ、「銭湯には絵があるという昔ながらの風景を残していきたい」と意気込みを新たにしている。
↑写真:中日新聞より
男湯と女湯にまたがる幅12mほどのタイルの壁。中央には太郎坊宮を抱える赤神山がそびえ、左右いっぱいに琵琶湖と雄大な山々が広がり、女湯側には竹生島が浮かぶ。「完璧な出来ではないけれど、描く機会をもらえてうれしい」。山本さんは控えめに笑う。
山本さんは香川県出身で、高校時代は油絵を専攻した。京都造形芸術大(現京都芸術大)では舞台芸術を学びながら、シェアハウスでの共同生活。風呂が手狭で、京都の寒さも堪え、近所の銭湯に通い始めた。昭和レトロが好きで、番台や掃除のアルバイトも経験した。大学では、銭湯の舞台セットを作るほどの熱の入れようで、いつしか「絵と銭湯を仕事にできたら」と考えるようになった。
大学卒業後は、銭湯で親しまれ、一時廃業の危機にあった瓶入り飲料の製造などに携わり、結婚を機に夫の住む東近江市内に移住。「家の近所で浴槽が広く、看板犬がかわいい」と「延命湯」にも足を運ぶようになった。
2年前ほどから「延命湯」でも掃除のアルバイトを始めたところ、山本さんの経歴を知った延命湯代表の西村和英さんから「絵を描いてみるか」と声がかかった。「やります」と即答した。「銭湯は地元密着。ありきたりな絵より、地元の風景がいい」とのリクエストも受け、昨年夏から構想を練った。下絵を作成し、壁面のタイルは、ペンキがはがれないよう加工した。
2020年11月の定休日3日間、10時~20時まで籠って、筆やローラーで描いた。壁面が広すぎて全体の進み具合を確認するのが難しく、「脚立に乗っては降りての繰り返しだった」と苦労を振り返る。
絵の出来栄えに西村さんは「君にしては良くやった」と照れくさそうに講評。「一生懸命勉強していることは知っていた。絵師として有名になり、この絵を自慢できる日が来ればいい」と大きな期待を寄せた。
山本さんは、滋賀県内の看板専門店に勤めながら、今後も他の銭湯で壁画を描いていくつもりだ。「奇抜さよりも伝統を大事にして描いていきたい」と誓った。
銭湯「延命湯」(東近江市八日市本町11-9)
営業時間: 17時〜23時(最終受け付けは22:30まで)
営業時間: 17時〜23時(最終受け付けは22:30まで)
定休日: 3、8、13、18、23、28日。
問い合わせ: 0748ー22ー1002
問い合わせ: 0748ー22ー1002
【身近な昔探訪】第71回・八日市本町の銭湯「延命湯」
https://blog.goo.ne.jp/ntt000012/e/121764df81e3345bb075fafe1a42b9c0
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<中日新聞より>