米国人宣教師で建築家の「ウィリアム・メレル・ヴォーリズ」(1880~1964年)の精神を伝える近江兄弟社の月刊伝道冊子「湖畔の聲(こえ)」に終戦前、掲載されたレシピを基に再現した西洋料理の試食会が6月17日、近江八幡市池田町5のウォーターハウス記念館であった。
↑写真:中日新聞より
記念館はヴォーリズの設計で1913年完成。老朽化が進む中、改修を重ね2009年に国登録有形文化財になった。ヴォーリズの伝道活動や事業を支えた吉田悦蔵(1890~1942年)の妻清野(きよの)(1888~1948年)のレシピが残り、清野は記念館近くで近江家政塾を主宰。女性たちに料理などを教えた。
↑写真:中日新聞より(中央が清野)
今春、記念館を活用した宿泊事業が始まり、合わせて喫茶や軽食サービスを模索。湖国の郷土料理を伝える近江家政塾ボランティアグループ「あじさい」の有志たちが清野のレシピを再現し、観光客や市民に紹介する構想を練っている。湖畔の聲では1937年1月から5年間で48回、レシピが掲載された。
試食会では、記念館に近接する吉田邸の三階書庫から見つかった清野直筆のレシピにある「ミートローフ」をはじめ、うなぎ豆腐、セロリとリンゴのナッツサラダ、小あじの南蛮漬け、ダイコンの若芽巻き、ゴボウのごましょうゆ煮、卵のしぐれ焼き、スイートポテトコロッケ、南蛮すいとんなど、デザートを含め14品を提供。レシピにはない赤こんにゃくや丁字麩(ふ)といった近江八幡ゆかりの食材も一部活用した。
あじさいの上(かみ)和世代表は「昔の料理だけど今も色あせない。再現を通して当時のレシピや清野さんに光が当たり、後世に引き継ぐことができれば」と期待する。
清野の孫、吉田与志也さんと妻桂子さん(守山市)も試食。与志也さんの母ゑいさん(故人)も清野から料理を学んでおり「ミートローフは母の味がした。祖母の料理を再現していただき、当時の風味をぜいたくな空間で味わい、とても豊かな時間が過ごせた」と喜んだ。
再現料理のランチと記念館を見学する催しを年内に月1回ペースで計画。
7月は8日(土)に開く。定員14人で、最少10人で催行。
食事やコーヒー、記念館のガイドなどを含め一人4400円。
問い合わせ: 近江八幡まちや倶楽部
近江八幡市仲屋町中21−21
0748(32)4654
<中日新聞より>