甲賀市水口地域の特産品「水口かんぴょう」が今年3月、国の地理的表示(GI)保護制度に登録された。
このほど、生産に携わる甲賀農業協同組合(JAこうか、甲賀市水口町水口)の池村正・代表理事組合長らが滋賀県庁で三日月大造知事を表敬訪問し、登録までの苦労や「水口かんぴょう」にかける思いを語った。
GI保護制度とは、地域に存在する、伝統的な生産方法や気候・風土・土壌など生産地の特性が品質などの特性に結びついている産品について、その名称(地理的表示)を知的財産として保護する制度。
国内では2015年から制度が始められ、今年3月27日現在、農林水産物145品目、酒類24件が登録されている。滋賀県内からは、17年の「近江牛」、19年の「伊吹そば」、22年の「滋賀の酒」、「近江日野産日野菜」に続く5例目の登録となった。
水口地域は江戸時代から「かんぴょう」の名産地として知られ、当時の東海道の宿場風景を描いた歌川広重の「東海道五十三次」でも水口宿の場面はかんぴょうづくりをする女性たちの姿がメインに描かれている。
「水口かんぴょう」は、在来種から選抜、栽培された夕顔を原料とした加工食品で、温風乾燥をしない昔ながらの天日干しが今も地域で受け継がれている。調理した際にやわらかく、味がよく染みこむのが特徴で、祭りや祝い事の席で振る舞われるなど、地域の食文化として根付いている。
知事室を訪れた池村組合長らからGI登録の報告を受けた三日月知事は「長い歴史を持つ地域ゆかりの産物が登録されたのはうれしく思う」と喜び、「滋賀県でも、食べ方も含めて広くお知らせしていきたい」と語った。
JAこうかによると現在は14件の農家が地域で生産している。巻きずしの具材に用いられることがよく知られるが、他にも卵とじやカレー風味かき揚げといった料理もあり、JAこうかではレシピを掲載したパンフレットを作成、地域の魅力発信に力を込めている。池村組合長は「GI登録は目標だったが、これはゴールではなくスタート。生産農家の思いを次世代に伝えたり、海外への販路拡大の取り組みなど、これからも頑張っていきたい」と意気込んでいる。
<記事・写真; 滋賀報知新聞より>