「立命館守山高校」(守山市)の3年生5人が、商品にならずに今まで捨てられていた琵琶湖産の湖魚を使ったふりかけの開発に取り組んでいる。5人は模擬企業「琵琶粉」を設立し、長浜市の老舗佃煮(つくだに)店と協力して試作品を完成させた。琵琶粉「社長」の山田健太郎さんは「琵琶湖の魅力を若い人に、全国に発信したい」と意気込んでいる。
5人はいずれも立命館守山高校生徒会執行部の山田健太郎さん、山田侑花さん、砂川昊輝さん、玉井芳果(ほのか)さん、水野皓太さん。認定NPO法人金融知力普及協会が主催する「リアビズ 高校生模擬企業グランプリ」への応募をきっかけに、取り組みを始めた。同グランプリは、協会が融資する30万円を元手に生徒がビジネスを運営し、成果を競う。
地元のシンボルである琵琶湖の恵みを使ったビジネスをしたいと考えた5人。地元漁師から「湖魚を佃煮にする際、身が欠損しているなど規格に合わず廃棄される魚がある」と聞き、これを活用した商品を作ることにした。
商品の開発に向けて5人は、滋賀県内の佃煮店に1社ずつ事業を売り込み、長浜市の「佃煮の伊吹」の協力を取り付けた。同社は若者向けの商品開発を模索しており、5人の「湖魚離れが進む若者においしく食べてもらえる商品を作りたい」との思いに共鳴。同社4代目の高橋光司さん(32)は「湖魚への熱い気持ちを持ってくれて、本当にありがたかった」と振り返る。
ふりかけの試作品は8月末ごろに完成。佃煮の規格に合わない小アユやワカサギを砕き、さんしょうを加えることで、魚の風味を残しつつ食べやすい味に仕上がった。商品名は「琵琶湖の美味(おい)しい粉」と決めた。
今月8日、立命館守山高校の文化祭で試食会を開き、200食以上を振る舞った。試食した草津市の女性(56)は「ご飯が進む味。商品化されたら必ず買いたい」と絶賛。商品は10月上旬から佃煮の伊吹などで販売する予定で、山田健太郎さんは「良い評価が多くて自信につながった。ふりかけを通して、若者が琵琶湖に親しむきっかけを作りたい」と力を込めた。
<記事・写真:中日新聞より>