滋賀県南部のJR草津線(36・7キロ)などを走るラッピング列車「SHINOBI―TRAIN(忍びトレイン)」が、6月で姿を消す。
いつ会えるか分からない神出鬼没の運行で、沿線の忍者の里をPRしたが、車両の定期点検のため“忍”務完了となる。
いつ会えるか分からない神出鬼没の運行で、沿線の忍者の里をPRしたが、車両の定期点検のため“忍”務完了となる。
「忍びトレイン」は4両編成。黒装束のような車両の正面には「忍」の文字、側面には忍者たちが金色や銀色で描かれている。手裏剣を握り、剣を構え、疾走し、躍動している。車内の広告は、忍者のポーズをとる人たちの写真で沿線の観光地を紹介する。
運行を始めたのは2017年。沿線の甲賀・伊賀の忍者ブランドで知名度を上げ、誘客につなげるのが狙いだ。滋賀県と沿線6市町でつくる滋賀県草津線複線化促進期成同盟会にJR西日本が協力。国の地方創生加速化交付金を活用し、2000万円かけてラッピングに取り組んだ。
JR草津線は、草津市と三重県伊賀市を結ぶ全11駅の路線。甲賀忍者で知られる甲賀市には5駅。その一つ、油日(あぶらひ)駅近くの油日神社は、甲賀忍者の元となったとされる甲賀武士の崇敬を集めた。湖南市の三雲(みくも)駅が最寄りの三雲城跡も、架空の忍者「猿飛佐助」のモデルが修行した地として地元がPRする。
電車は1時間に上下4本程度走るが、「忍びトレイン」は運行日も時間も公表されない。その神出鬼没ぶりも人気の一つだ。当初は2019年までの予定だったが、好評のため、車両の定期点検前の2021年6月まで延長された。点検でラッピングを外す必要があり、終了することになった。
JR西日本によると、6月は遭遇する機会を増やそうと、土・日曜を中心に運行する予定だ(予定が変更される可能性あり)。
<朝日新聞より>