中日新聞に東近江市の湖東地区(旧湖東町)から「地域の足」(コミュニティバス)についての課題や住民の不満足を取りあげている。
滋賀県においては大津や草津市周辺以外、車が事実上の足になっている「車MUST社会」である。
経営に苦しんでいる近江鉄道の支援だけをしても駅までアクセスとなるバス網が不備だと利用されない。自治体の支援頼りだけも限度がある。
Point to Point、任意時間などの利便性から車は勝る。その車社会も高齢化、過疎化により行き詰まるジレンマを迎える。
これは交通手段提供者だけの問題だけでなく、地域住民自体の意識、問題でもある。総合的な地域の深い問題である。
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以下、中日新聞より
合併により東近江市が発足して、2月で16年になる。
以来、近江鉄道の利用促進も見据えた八日市駅周辺の中心市街地活性化や、JR能登川駅周辺の副都心機能の強化が進む一方、市街地から距離があり、人口減少も著しい「周辺部」では、公共交通網が行き届かなかったり、スーパーが閉店したりと、暮らしの根幹に「空白」が生じつつある。
市長選(31日告示)を前に、交通と買い物を巡って奔走する住民を取材し、東近江市政の課題を探った。
東近江市湖東地区の40代の母親は、小中学生の子どもの将来的な高校通学に不安を覚えている。夫は単身赴任で平日おらず、最寄りの鉄道駅までのバスの本数は多いとは言えない。自転車では、事故や犯罪に巻き込込まれるのも心配だ。「じゃあ誰が送迎するかって、嫁の仕事になってしまう。分刻みで送迎している人は多い」と表情はさえない。
湖東地区内の公共交通は、東近江市のコミュニティバス「ちょこっとバス」がある。近江鉄道八日市駅までを結ぶ「湖東線」の始発は、八日市駅に午前8時10分に着く。
湖東地区まちづくり協議会の子育て支援プロジェクトリーダー沢居寛明さんは「到着が遅く、八日市地区から先の近江八幡や彦根へ近江鉄道で通学するには使いづらい」と指摘する。
協議会が2019年秋に地元住民ら約700人から回答を得たアンケート結果によると、バスは9割の人が「必要」と答えた一方、駅までの交通手段にしているのはわずか5%で、「家族の送迎」が52%や、「自分で運転」が43%に上った。
通勤通学で利用する(したい)駅は能登川が最多の62%、次いで八日市が20%、近江八幡と稲枝がそれぞれ10%弱だった。
能登川駅までは、東近江市が愛荘町と共同運行しているバスもあるが、「停留所が遠い」「希望時間帯にない」「料金が高い」といった既存の公共交通に対する不満の声が数多く集まった。
以来、近江鉄道の利用促進も見据えた八日市駅周辺の中心市街地活性化や、JR能登川駅周辺の副都心機能の強化が進む一方、市街地から距離があり、人口減少も著しい「周辺部」では、公共交通網が行き届かなかったり、スーパーが閉店したりと、暮らしの根幹に「空白」が生じつつある。
市長選(31日告示)を前に、交通と買い物を巡って奔走する住民を取材し、東近江市政の課題を探った。
東近江市湖東地区の40代の母親は、小中学生の子どもの将来的な高校通学に不安を覚えている。夫は単身赴任で平日おらず、最寄りの鉄道駅までのバスの本数は多いとは言えない。自転車では、事故や犯罪に巻き込込まれるのも心配だ。「じゃあ誰が送迎するかって、嫁の仕事になってしまう。分刻みで送迎している人は多い」と表情はさえない。
湖東地区内の公共交通は、東近江市のコミュニティバス「ちょこっとバス」がある。近江鉄道八日市駅までを結ぶ「湖東線」の始発は、八日市駅に午前8時10分に着く。
湖東地区まちづくり協議会の子育て支援プロジェクトリーダー沢居寛明さんは「到着が遅く、八日市地区から先の近江八幡や彦根へ近江鉄道で通学するには使いづらい」と指摘する。
協議会が2019年秋に地元住民ら約700人から回答を得たアンケート結果によると、バスは9割の人が「必要」と答えた一方、駅までの交通手段にしているのはわずか5%で、「家族の送迎」が52%や、「自分で運転」が43%に上った。
通勤通学で利用する(したい)駅は能登川が最多の62%、次いで八日市が20%、近江八幡と稲枝がそれぞれ10%弱だった。
能登川駅までは、東近江市が愛荘町と共同運行しているバスもあるが、「停留所が遠い」「希望時間帯にない」「料金が高い」といった既存の公共交通に対する不満の声が数多く集まった。
↑写真:滋賀報知新聞より
この結果や子育て世代の意見を踏まえ、協議会は「朝夕に運行をしぼり、採算性を高めたバスの運行が必要」と判断。
1月18日から5日間、湖東地区と能登川駅を結ぶマイクロバスを試験走行し、運行ルートの検討に着手した。
地元住民が運転手となり、時間短縮のため停留所は6ヶ所程度にして、来年4月の運行開始を目標に掲げている。
沢居さんは「湖東から京阪神の大学や会社に通いやすくなれば、若者世代を定着させられ、地域の文化も残せる」と力を込める。
東近江市にとっても、コミュニティバスの利用促進は喫緊の課題だ。
東近江市内10路線を年間1.3億円を投じて維持し、停留所の新設やルートの改善、小学生向けのバスの乗り方の授業、学生向けに回数券を半額にする「お試しキャンペーン」などに取り組んでいるが、肝心の増便やダイヤ変更は「通学だけでなく、買い物や通院といったニーズとのバランスもある」(市の担当者)として、運転手の確保も理由に挙げて難色を示す。
試験走行初日に運転した農業小嶋和宏さんは「最初は子どものバスを何とかせなあかんと思っていたけど、将来的には自分も運転できなくなる。自分のこととして考えるようになった」と危機感は強い。
孫の送迎に手を焼いているとか、JR線の駅まで出づらいといった高齢者の声もよく聞くという。その声の主は、旧湖東町で生まれ育った世代でもある。「合併して損したと思ってる人は多いよ」。小嶋さんは慣れないバスのハンドルを握って、そうつぶやいた。
地元住民が運転手となり、時間短縮のため停留所は6ヶ所程度にして、来年4月の運行開始を目標に掲げている。
沢居さんは「湖東から京阪神の大学や会社に通いやすくなれば、若者世代を定着させられ、地域の文化も残せる」と力を込める。
東近江市にとっても、コミュニティバスの利用促進は喫緊の課題だ。
東近江市内10路線を年間1.3億円を投じて維持し、停留所の新設やルートの改善、小学生向けのバスの乗り方の授業、学生向けに回数券を半額にする「お試しキャンペーン」などに取り組んでいるが、肝心の増便やダイヤ変更は「通学だけでなく、買い物や通院といったニーズとのバランスもある」(市の担当者)として、運転手の確保も理由に挙げて難色を示す。
試験走行初日に運転した農業小嶋和宏さんは「最初は子どものバスを何とかせなあかんと思っていたけど、将来的には自分も運転できなくなる。自分のこととして考えるようになった」と危機感は強い。
孫の送迎に手を焼いているとか、JR線の駅まで出づらいといった高齢者の声もよく聞くという。その声の主は、旧湖東町で生まれ育った世代でもある。「合併して損したと思ってる人は多いよ」。小嶋さんは慣れないバスのハンドルを握って、そうつぶやいた。
<中日新聞より>