滋賀県が進めている新しい「滋賀県史編さん」を魅力あるものにしていくため、様々な人たちが一堂に会して意見を出し合う「滋賀県史編さん会議」の1回目がこのほど滋賀県危機管理センター(大津市京町4)で開かれ、公募委員を含む各分野・業種・立場を代表する委員らが滋賀県史への期待を語った。
滋賀県では、昨年(2022年)で滋賀県政150周年の節目を迎えたことを記念し、未来を考える知的資源として子どもを含む後世の幅広い世代に滋賀県の歴史を伝えることなどを目的にした新しい滋賀県史の編さんに取り組んでいる。
「滋賀県史」はこれまで、第1期(1919年~27年)と第2期(1967年~85年)の2回にわたって編さん・刊行されてきた。第1期では古代~大正時代までの通史を中心に年代順の全6巻、第2期ではその続編として昭和時代の50年を中心にした分野別の全6巻が発行されている。
今回の新たなア滋賀県史編さんにあたり昨年度開かれた「滋賀県史編さんのあり方検討懇話会」では、滋賀県の歴史的な変遷を世界と日本の歴史的な流れの中に位置づけることやできる限り平易な表現で分かりやすく記述すること、滋賀県民の理解と参加の下に進められるよう取り組むことなどの方針を示した大綱が策定され、内容は第2期の続編とはせず、1872年~2022年の150年間を対象に、分野別の全9巻を2038年までに順次刊行していくことなどが決められた。
また、研究者らの執筆・編集を取りまとめる「滋賀県史編さん編集会議」とは別に進捗状況の確認や県民への普及・情報発信事業実施に対する意見などを大所高所から述べる「滋賀県史編さん会議」の設置も決まった。
「編さん会議」には滋賀県史編集委員長を務める伊藤之雄・京都大学名誉教授や大杉住子・副知事のほか、中学校長、社会福祉協議会職員、農協職員、図書館長、マスコミ、大学生、公募委員の会社員など滋賀県内各地から多様な立場の16人が委員として参画、年1回以上集まり、意見を出し合っていく。
第1回目の会議では、委員らがこれまでの滋賀県史編さんの経過や進捗状況などを確認し、滋賀県民への普及・広報活動に関する意見を交換した。
大杉副知事は「内容はも勿論だが、こうやって皆さんで意見を出して県史を作っていく過程も大事にしたい。完成した滋賀県史が色んな場で歴史に思いをはせて考えるきっかけになれば」と期待を語った。
伊藤編集委員長は「歴代の滋賀県知事も出てくれば地域の人も登場する、より身近な滋賀県史になれば」と述べ、委員らからは「小中学生でも郷土の歴史を学べるよう、分かり易くまとめた副読本のようなものを用意してはどうか」や「滋賀の福祉の歴史をまとめて欲しい」、「大学生が手に取り安くするために、滋賀県の経済支援キャンペーンなどと連動してみては」などの意見が挙がっていた。
<滋賀報知新聞より>