”スローライフ滋賀” 

デザイナーからイチゴ農家に 東近江「湖東こぐま農園」

 出版社のデザイナーからイチゴ農家に転身した女性が11月末、東近江市小田苅町に構えるハウスで初収穫を迎えた。
地元出身の小林佳紫(かれん)さん(30)。畑違いの分野に試行錯誤しつつ、広告の知識や持ち前の画力を生かし、来年1月の販売開始に向けて奮闘している。

↑写真:滋賀報知新聞より

 小林さんは絵を描くのが好きで、成安造形大(大津市)ではイラストレーションを専攻した。卒業後は滋賀県外の出版社に就職し、情報誌に載せる飲食店などの広告制作に携わった。
 約3年の勤務では、依頼主のブランディングにやりがいを得た一方で「もっとこうした方がいいと思っても、自分にできることには限界があった」。自分で一から作って発信したいと、農家の親戚や家族の後押しもあり、転身を決めた。

 昨年度は滋賀県農業大学校で複数の野菜の栽培を実践し、流通や経営についても学習。滋賀県内で同年代の女性による就農例があり「華やかさがある」と「イチゴ農家」の道を選んだ。
 3月、親戚の農地を借りて「湖東こぐま農園」を開業。収穫期の12月に見られるこぐま座流星群にちなみ、親しみやすさも重視して名付けた。
広さ27アールの敷地に4棟のビニールハウスを建て、かおり野、紅ほっぺ、章姫の3品種を栽培。先輩農家の手助けも受けながら、ハウス内には害虫を食べる益虫や、病気の発生を抑えるランプを導入するなど、減農薬に取り組んでいる。

 情報発信にも注力。会員制交流サイト(SNS)では、栽培の様子や人との出会いをイラストにして紹介。農園のロゴマークも作り、他のイチゴ園との差別化を意識してイチゴより小熊を大きくデザインした。
 来年1月11日には、ハウス内に直売所を設ける計画。食品ロスや容器の無駄遣いを抑える「量り売り」などの販売手法を検討している。

 小林さんは「好きな人にプレゼントしたいと思えるようなイチゴを育てたい。ライバルは同じ農家というより雑貨店かもしれない」と意気込む。
「今は自分のことで精いっぱいだが、これまでに得たスキルを武器にして農業全体をよりよくできたら」とも語った。

<中日新聞より>
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