福井県と滋賀県の地域鉄道事業者による「地域鉄道維持活性化合同勉強会」がこのほど、近江鉄道日野駅舎内にある観光案内施設「なないろ」で初めて開かれ、両県から5事業者(福井鉄道、えちぜん鉄道、ハピラインふくい、近江鉄道、信楽高原鉄道)と地域交通に携わる県・町職員ら約20人が参加した。
この勉強会は、両県の地域鉄道に係る共通課題の解決を図るため昨年10月に行われた両県知事の懇談会において、それぞれの取り組みの共有や連携した施策について検討することへ合意したことを契機とした取り組みの第一弾。
当日は米原駅・米原市役所で福井県からの一団を迎え、同駅の視察後に近江鉄道で沿線の紹介をしながら日野駅へ移動。日野駅構内の視察後に各事業者が利用状況の推移や利用者増へ向けた施策などを紹介し、抱える課題について意見を交わした。
このうち、福井鉄道はモバイルチケットサービス(RYDEPASS)や共通1日フリーきっぷ(福井鉄道・えちぜん鉄道)、食事券付きフリー乗車券など多様な企画乗車券や新型車両(LRV)の導入、パーク&ライド駐車場整備、えちぜん鉄道との相互乗り入れ、JR福井駅への延伸といった利便性向上施策を解説。
えちぜん鉄道は2度の正面衝突事故(2000年、01年)で運行停止に追い込まれ、代行バス運行で乗客の積み残しや幹線道路の渋滞などを招いた事案を「負の実証実験」、「長距離代行バスは電車の代替にならない」と振り返り、そこから福井県が設備投資、沿線市町村が赤字補填をする福井方式の上下分離のやり方について述べた(現在はえちぜん鉄道の自立により赤字補填はされていない)。利用者増に向けた取り組みとしては年間千円の会費で様々な特典が受けられる「えちてつサポーターズクラブ」や客室乗務員(アテンダント)の業務を紹介した。
近江鉄道構造改革推進部の山田和昭部長は「北陸は交通施策の先進的な県。ぜひ滋賀県も仲間に入れていただいて、一緒に情報交換をしながら経営能力を高めていきたい」と話していた。
<滋賀報知新聞より>