春 まだ早い頃 二十年来の椎茸のお客様から電話がありました。うちが閉店するのは年賀状でお知らせしています。
『6月に湯平に行きたいので 旅館を紹介して下さい』
約二十年前 湯平温泉の共同温泉に入り、帰りに当店の椎茸を見つけて それ以来 年に二回の注文をいただいていました。水害の折には お見舞いを送って下さいました。『自分たちも阪神淡路大震災を経験したので大変さがわかります』と。
電話での会話、請求書に書く私のひとこと、振り込み時に書かれている ひとことの交換を 20年続けていると なにか友人のような、 家族のような、そんな感じがしていました。
そして6月に入り 旅館から電話があり『来ました。これから行きます、会いに行きます』と。再会とはいえ 20年前の話ですから年齢もお顔もわかりません。
会ってびっくり、お二人とも80代のご夫婦でした。電話のお声は若々しいので、同じくらいと思っていました。神戸からフェリーでみえたそうです。モロゾフのチョコレートを お土産にいただきました。
しばし おしゃべりをして、帰りは宿まで車で送らせてもらいました。娘さん お二人は家を出て 二人で余生をすごしていると。私たちも 将来そうなりたいです。
お別れする時に握手を求めたら ハグをしてくれました。こんな人生の大先輩から ハグされて なんだか幸せな気持ちになりました。
旅館の前で記念写真を撮ってさしあげました。若々しいお二人です。
雨が上がり、青空が出てきて 良い旅のはじまりです。
次の日 杖立温泉、天ケ瀬温泉へ向かわれました。
お帰りになる頃 写真を送ってさしあげましょう。