あれは,あれで良いのかなPART2

世の中の様々なニュースをばっさり斬ってみます。
ブログ界の「おか上彰」を目指し、サボりながらも頑張ります!

「聞いちゃった」ではなく「言わせちゃった」

2007年07月20日 00時35分23秒 | 裁判・犯罪
いわゆる村上ファンドのニッポン放送株買い占めがライブドアからの事前情報によるのはインサイダー取引に該当するとして証券取引法違反等で起訴された村上被告に対する判決が東京地裁でだされました。東京地裁はインサイダー取引であると認め,懲役2年の実刑及び罰金300万円,さらに追徴金11億4900万円という判決を下しました。ムラkみひこくは即日控訴し,かつ即日再保釈となり,舞台は高裁に移ることになります。

村上被告に実刑、ニッポン放送大量買い付け方針の伝達認める(ロイター) - goo ニュース

かなり厳しい判決だなあ

まず,インサイダー取引で実刑というのは結構珍しいです。逆に言うと,それだけこの事案は悪質であったと裁判所は認定したということになります。
具体的には,「どの程度の話を聞けばインサイダーか」という点が大きな争点になっていた訳ですが,これについて東京地裁は,簡単に言えば「オフィシャルな話でなくとも,会社の重役がお茶飲みながらぶっちゃけトークをしていた。」というレベルの情報でもインサイダーになりうると認定しました。すなわち,インサイダー取引の可能性をかなり広げたと言うことになります。
また,本件が悪質であると認定したのは,記者会見で言った「聞いちゃった」という点が,実は,村上被告から堀江被告を煽って,結果堀江被告が「ニッポン放送株買おう」と「言わせちゃった」という事実が認められ,いわば「実質的首謀者」であるといえるという点によります。
つまり,今日の判決は,結果的には「ライブドアのニッポン放送買収計画自体が村上被告の計画であった」と暗に認定したということになります。

当然,控訴審ではこの部分の事実認定が大きな争点となります。
おそらく,村上被告としては,「重大な事実誤認がある」ということで,自分が実質的首謀者である点を否定することになるでしょうし,またインサイダー情報の法的意味について反論してくるものと思われます。

ところで,今回の地裁判決,一つ気になる点がありました。それは,「インサイダー情報が広すぎる」点です。すなわち,先ほども書きましたとおり,インサイダー情報は正式な取締役会決議などは必要なく,会社の重要な人間の言動で足りるとしている点です。
確かに,インサイダー取引の実体は,その大半が「役員が私的に情報を提供した」という点によるため,オフィシャルなもののみとすると,逆にインサイダー取引はほとんど成立しないことになります。
しかし,広すぎる場合,例えば,投資会社の人がある会社の社長と仲が良くて,プライベートの席上で,社長が「これからはA社だよねえ,狙いは。」などと何気なく話したとしたら,これもインサイダー情報になってしまうため,たまたま投資会社としてA社を狙っていたとしても,うかつに株を買うことができなくなってしまいます。

インサイダーかどうかは,正直切り分けはかなり難しいです。高裁で具体的にどのような基準を設定するのか,様子を見たいものです。

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コメント (2)
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