緑の風がさわやかにカーテンを揺らし本をサラサラとめくって流れていく初夏の午後。
「大江戸釣客伝」上下巻、読み終えた。(夢枕獏作)
リリオーは釣りに興味は無し。が、昔、釣りに行こうと誘われた事はある。
だが、「ハイ!」と返事して連れてもらっても小さな釣り船が滑り出すとすぐに酔い、釣りどころか直ぐ岸に戻してもらう始末。今度は大丈夫と行ってもやはりだめで釣りとは縁が無くなった。
だから、この「大江戸釣客伝」も読む気はなしだったが、新聞に大きく話題作として載っていて、どんなだろう、釣りが出来なくても読めるかな?と興味が湧き始め読み始めた。
旗本・津軽弘前藩分家三代当主で最古の釣り指南書「何羨録」を著した津軽采女を中心に、徳川綱吉、采女の義父である吉良上野介、松尾芭蕉、紀伊国屋文左衛門、水戸黄門、室井基角、多賀朝湖、他、たくさんの元禄時代のそうそうたる人物が登場し釣りを通じての人間ドラマが描かれ又、浅野内匠頭長矩の人情松の廊下、赤穂浪士の討ち入り、生類憐みの令で魚を捕ることも禁止となりそれを破った朝湖が三宅島へ島流し、元禄大地震なども解りやすく描かれていてドンドンページを止まることなくめくり進んでいく。釣りをするしない関係なく読める素晴らしい本。久々に面白い本、はまった本に出会えて目から鱗が落ちた。(釣りの本なので鱗が落ちた)
泉鏡花文学賞・吉川英治文学賞を受賞されたこと大いに納得!
未だ、読んでいない人は是非!
でも、どうして釣りをするの?面白いの?
釣れたときもさることながら釣れぬ釣れぬと言うている時もそれなりに面白い。
竿を握っているとき、魚が掛かっているとき、この時ばかりは浮世のあれこれも忘れてしまう・・・等などだそうです。
魚が掛かったとき、手元に伝わってくる、あのブルブルと言う感触がたまらないともありました。