こんにちは。
学会にお出かけのみなさまも多いことと思いますが、私はお金ないんでお家にいます。
最近、文科省のほうが「若手研究者同居支援」というのを出してきて、私近年稀にみるほどの怒りを感じました。
怒り感じる、というか、私がもっと高齢で頭の血管詰まりかけてたりしたらぶちっといっちゃったと思う。
…くらいの身体的な怒り。ようやくおさまってきましたが、私ずいぶんエネルギー使ったわ、論文書かなきゃいけないんですけど。
→日経の記事。
→元ネタ。
どういう政策かというと、女性研究者支援の一環で、
「若手研究者夫婦が遠隔地の研究機関に転勤する場合、新たなポストを見つけようとする配偶者に対し、研究費を支援する」政策。
一件につき400万円(微妙な金額。何だそのケチなの)。
これ、リアリティがないとかいろいろ問題を感じるのですが、
一番怒りを感じるのは、「産めよ殖やせよ」という声が聞こえてくるところ。
そんなことを言うのは、親戚のおばちゃんくらいで充分です。勘弁して下さい。
子供をつくらない研究者がいたら、「出産を諦めている」なんてどうして思うのかしら?
子供を作りたい女性が作れないよりよっぽど、作りたくない女性に出産を強いる社会な気がしますよ。
もちろん、子供を作りたい研究者夫婦を支援することが趣旨であって、
子供を産みたくない、結婚したくない若手研究者に結婚や出産を強いるものではありません。
出産にしろ子育てにしろ、どう考えても負担になるのは明らかですから、何らかの支援策は必要でしょう。
だから、自分には関係のない話~♪と思って無視しておいてもよい。
しかしですね、いろいろ時代錯誤というか、よくもこんなに私の神経を逆撫でできるな、という感じの記事なのです。
①出産したい(はず)ということを前提にしている。
②なんで女性研究者が配偶者についていかなきゃならんのだ。
③いろいろリアリティがない。
・400万使い切るまでに次の就職先が決まるとは思えない。
・常勤のポストを得た時点ですでに若手ではなくなっていると思われる。
・夫婦ともに常勤でその一方が転勤した、というシチュエーションを想定しているの?よく分からん。
・そもそも研究者同士のカップルってどれだけいる?
何だかシャーレのなかに研究者という新種の生き物を入れて繁殖させてるみたいだわ。
etc…
こういうプロジェクト型の資金ってどうしても、
何かを条件にお金を出す、というかたちになる。
研究者全体のポストが非常に少ない状態で、プロジェクト型の資金が増えて、
はい、研究者同士で結婚して同居すれば、お金くれますよ、というと出現するのは、
そうでなければ研究できないのに、
研究者同士で結婚して同居して子供欲しいです、って言えば研究できる状況です。
生殖と引き換えに研究費をえる状況。
子供なんか作らなくても、研究したくて研究する能力がある人間には
研究できる環境があるべきなんですよ。
研究者間の分断は好ましいことではないので、
ほんとうはこんなこと言うべきじゃないのですが、
子供を作りたい研究者だけが優遇されているように見えてしまいます。
そうでなくても、結婚したい、子どもを作りたいというような、
世間的にそうあるべきと思われるような価値観を身につけているだけで、私などから見ればずいぶん勝ち組に見えます。
そもそも、子供を作りたい研究者が子供を作るためには、できるだけ早いうちに常勤職を得ることが一番なわけです。
常勤であれば、産休も育休もとれるし、学内の保育施設を利用することもできる(*)。
若手研究者ができるだけ早く常勤のポストにつけるようにすることは、
単に子供を作りたい研究者だけではなく、若手研究者全体にとって有益なことです。
「有望な女性研究者が子育てのために研究を離れる」ことを嘆くなら、
どうしてそれよりもっとたくさんの有望な研究者(女性でも、男性でも)がポストがないために研究を離れる状況を嘆かないのかしら。意味が分かりません。
*もちろん、非常勤でも産休、育休を取得し、保育施設を利用できるべきですが。
本気で研究者への子作り・子育て支援をするつもりなら、
博士後期課程まで修了すればどれだけ順調に行っても30前にはなるのだから、常勤職に対する支援よりも、
院生~非常勤クラスへの支援を行ったほうが有益だと思うのだけれど。
同居支援ということであれば、夫婦を無理やり同居させるよりは、
ある地点で一緒になって子供を作った人が、別の地点で一緒になった人と育てる、
というような仕組みを作ったほうが有益ではないかしら。
夫婦関係でなくとも、恋愛関係ですらなくてもいいと思いますが。
両親や母親の親族だけで子供を育てるのではなく、みんなで育てるモデルを作ったほうがいい
(私も誰かと同居できたほうが、犬を飼うにはいい)。
私はやっぱり、おこがましいかもしれないけれど、研究者は新しい価値観を提示したり、
公平性を体現したりしないといけない存在だと思っています。
個人の自由なので、子供を作って配偶者について行くことを幸福と感じる人がいても良いし、
そういう人は自分の幸福を追求する権利もある。
でも、「子供を作って配偶者について行くこと」が研究者として有るべきモデルになるのはちょっとどうかと思うんですよね。
少子化を嘆くのであれば、まだできていないものをどんどん作らせようとするよりは、
生まれてきたものが無事育つようにすることのほうが大事じゃないでしょうか。
子育ての全責任をちいさな家族(殊に母親)に押し付け、母親が育てられない状況にある場合は見殺しにするんじゃなくて。
母親を全部悪者にするような社会じゃなくて。
変な研究者同士の子供繁殖させるよりは、そういう子供たちが無事育つようにすることのほうが、
よっぽど大事だと思います。
学会にお出かけのみなさまも多いことと思いますが、私はお金ないんでお家にいます。
最近、文科省のほうが「若手研究者同居支援」というのを出してきて、私近年稀にみるほどの怒りを感じました。
怒り感じる、というか、私がもっと高齢で頭の血管詰まりかけてたりしたらぶちっといっちゃったと思う。
…くらいの身体的な怒り。ようやくおさまってきましたが、私ずいぶんエネルギー使ったわ、論文書かなきゃいけないんですけど。
→日経の記事。
→元ネタ。
どういう政策かというと、女性研究者支援の一環で、
「若手研究者夫婦が遠隔地の研究機関に転勤する場合、新たなポストを見つけようとする配偶者に対し、研究費を支援する」政策。
一件につき400万円(微妙な金額。何だそのケチなの)。
これ、リアリティがないとかいろいろ問題を感じるのですが、
一番怒りを感じるのは、「産めよ殖やせよ」という声が聞こえてくるところ。
そんなことを言うのは、親戚のおばちゃんくらいで充分です。勘弁して下さい。
子供をつくらない研究者がいたら、「出産を諦めている」なんてどうして思うのかしら?
子供を作りたい女性が作れないよりよっぽど、作りたくない女性に出産を強いる社会な気がしますよ。
もちろん、子供を作りたい研究者夫婦を支援することが趣旨であって、
子供を産みたくない、結婚したくない若手研究者に結婚や出産を強いるものではありません。
出産にしろ子育てにしろ、どう考えても負担になるのは明らかですから、何らかの支援策は必要でしょう。
だから、自分には関係のない話~♪と思って無視しておいてもよい。
しかしですね、いろいろ時代錯誤というか、よくもこんなに私の神経を逆撫でできるな、という感じの記事なのです。
①出産したい(はず)ということを前提にしている。
②なんで女性研究者が配偶者についていかなきゃならんのだ。
③いろいろリアリティがない。
・400万使い切るまでに次の就職先が決まるとは思えない。
・常勤のポストを得た時点ですでに若手ではなくなっていると思われる。
・夫婦ともに常勤でその一方が転勤した、というシチュエーションを想定しているの?よく分からん。
・そもそも研究者同士のカップルってどれだけいる?
何だかシャーレのなかに研究者という新種の生き物を入れて繁殖させてるみたいだわ。
etc…
こういうプロジェクト型の資金ってどうしても、
何かを条件にお金を出す、というかたちになる。
研究者全体のポストが非常に少ない状態で、プロジェクト型の資金が増えて、
はい、研究者同士で結婚して同居すれば、お金くれますよ、というと出現するのは、
そうでなければ研究できないのに、
研究者同士で結婚して同居して子供欲しいです、って言えば研究できる状況です。
生殖と引き換えに研究費をえる状況。
子供なんか作らなくても、研究したくて研究する能力がある人間には
研究できる環境があるべきなんですよ。
研究者間の分断は好ましいことではないので、
ほんとうはこんなこと言うべきじゃないのですが、
子供を作りたい研究者だけが優遇されているように見えてしまいます。
そうでなくても、結婚したい、子どもを作りたいというような、
世間的にそうあるべきと思われるような価値観を身につけているだけで、私などから見ればずいぶん勝ち組に見えます。
そもそも、子供を作りたい研究者が子供を作るためには、できるだけ早いうちに常勤職を得ることが一番なわけです。
常勤であれば、産休も育休もとれるし、学内の保育施設を利用することもできる(*)。
若手研究者ができるだけ早く常勤のポストにつけるようにすることは、
単に子供を作りたい研究者だけではなく、若手研究者全体にとって有益なことです。
「有望な女性研究者が子育てのために研究を離れる」ことを嘆くなら、
どうしてそれよりもっとたくさんの有望な研究者(女性でも、男性でも)がポストがないために研究を離れる状況を嘆かないのかしら。意味が分かりません。
*もちろん、非常勤でも産休、育休を取得し、保育施設を利用できるべきですが。
本気で研究者への子作り・子育て支援をするつもりなら、
博士後期課程まで修了すればどれだけ順調に行っても30前にはなるのだから、常勤職に対する支援よりも、
院生~非常勤クラスへの支援を行ったほうが有益だと思うのだけれど。
同居支援ということであれば、夫婦を無理やり同居させるよりは、
ある地点で一緒になって子供を作った人が、別の地点で一緒になった人と育てる、
というような仕組みを作ったほうが有益ではないかしら。
夫婦関係でなくとも、恋愛関係ですらなくてもいいと思いますが。
両親や母親の親族だけで子供を育てるのではなく、みんなで育てるモデルを作ったほうがいい
(私も誰かと同居できたほうが、犬を飼うにはいい)。
私はやっぱり、おこがましいかもしれないけれど、研究者は新しい価値観を提示したり、
公平性を体現したりしないといけない存在だと思っています。
個人の自由なので、子供を作って配偶者について行くことを幸福と感じる人がいても良いし、
そういう人は自分の幸福を追求する権利もある。
でも、「子供を作って配偶者について行くこと」が研究者として有るべきモデルになるのはちょっとどうかと思うんですよね。
少子化を嘆くのであれば、まだできていないものをどんどん作らせようとするよりは、
生まれてきたものが無事育つようにすることのほうが大事じゃないでしょうか。
子育ての全責任をちいさな家族(殊に母親)に押し付け、母親が育てられない状況にある場合は見殺しにするんじゃなくて。
母親を全部悪者にするような社会じゃなくて。
変な研究者同士の子供繁殖させるよりは、そういう子供たちが無事育つようにすることのほうが、
よっぽど大事だと思います。