人形と動物の文学論

人形表象による内面表現を切り口に、新しい文学論の構築を目指す。研究と日常、わんことの生活、そしてブックレビュー。

お人形をお迎えしました/口頭発表のお知らせ

2024-06-02 14:17:25 | 日記
近況報告と予告です。

①お人形をお迎えしました。
 昨日、中川多理さんのお人形「Unglazed」ちゃんをお迎えしました。
「白堊――廃廟苑於」というタイトルで、東京、三河島駅近くの元映画館で開催された展示のためにつくられたもので、多理さんの人形作品集『薔薇色の脚』の特装版となっています。元映画館で見たときには白のイメージの強い子でしたが、お迎えしてみると、温かみのある色合いで、すごく可愛いです。
    

 箱入りの子で、箱が本棚の一段目にぴったりだったのでひとまず本棚にいていただいているのですが、ちゃんと棚を買わないとなあ…と思っています。この位置もちょうど寝るときに目に入る感じなのでいいんですが。



 もともとお家にいた白薔薇ちゃん(仮)(なかなかしっくりくる名前を思いつけないでいるのですが、「薔薇色の脚」の白いイメージの子なのでとりあえず)といっしょに。白薔薇ちゃんも中川多理さんのお人形で、山尾悠子さんの『夢の棲む街』に出てくる「薔薇色の脚」をイメージしたもの。白薔薇ちゃんは青いガラスの目が印象的な子で、この子は眠り目、素材もビスクで大きさもかなり違いますが、髪の色が同じで、ちょっと似た雰囲気があります。なぜか似た雰囲気の子とご縁があるものだなあ、と思っています。

②6月16日(日)に口頭発表「「自然な身体」からの飛翔/への回帰 ――矢川澄子『兎とよばれた女』と高畑勲『かぐや姫の物語』」を行います。
 「日本文芸研究会 第75回総会・研究発表大会」で、口頭発表を行います。
 午前中(10:00~12:00)に公開講演会「女性と文芸・言語・思想」があり、午後(13:50~16:25)に個別の研究発表が4本あります。私は午後1本目の発表です。
→詳細は「日本文芸研究会」のサイト

日時:6月16日(日) 9:30(受付開始)~
場所:宮城学院女子大学 講義館C202教室
*対面を主としたハイフレックスによる開催

 私の今回の発表は、以前口頭発表で、矢川澄子の小説『兎とよばれた女』に挿入される「かぐや姫に関するノート」を『竹取物語』の翻案として考察したことがあるのですが(→「天上の魂と地上の身体――矢川澄子『兎とよばれた女』における『竹取物語』解釈」というタイトルで 論文化しています)、そのときに、『かぐや姫の物語』と比較してみるとより特徴が明らかになるのではないかと言われたことがきっかけで着想しました。実際に『かぐや姫の物語』を見ると、確かに対照的なんですよね。『かぐや姫の物語』とよく並べられるのが『アルプスの少女ハイジ』ですけど、矢川澄子は1974年の『ハイジ』の翻訳者でもありますし。

謹賀新年2023

2023-01-01 10:34:33 | 日記
 新年あけましておめでとうございます。
 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


 去年の今頃は、コロナで非常勤先の授業が全部オンラインになったため実家に長期帰省しながら、急に弱ってしまったカイちゃんの看病をしていました。カイちゃんは1月9日に亡くなり、その一か月後に、同い年のきょうだいのシロリンまで相次いで亡くなってしまいました。
 
 お見送りできたのはよかったけれど(正確には、シロリンは私がお風呂に入っている間、母はそばで一緒にいたけど寝てしまっている間に亡くなってしまった)、実家もずいぶん寂しくなりました。
 
 昨年前半は、全く先の見えない状況で、人生をあきらめ気味で、飲んだくれていたので、すっかり生活リズムがぐしゃぐしゃになってしまいました。10月1日に東北大学に助教として着任することになり、ひとまず4年間は生活できるし研究もできる…とほっとしましたが、生活リズムをちゃんと整えて、勉強したり論文書いたりできるようにしないと…(結構急だったので、お引越しは本当に大変でした! お引越しって苦手)。
 着任するときに、東北の人から仙台は寒くないし雪も降らない、と言われたのですが、京都や名古屋や東京の寒さとは全然質が違って、やっぱり寒いです。それから、冬場は本当に日が短い。16時ちょっと過ぎると日が落ちてしまうので…。できるだけ外に出て歩くようにしているのですが、朝が苦手で、昼もぼんやりしてしまう私のような人間は、授業でもなければ結局外に出るのが15時を過ぎてしまい、日が暮れかけた中を歩いて何となく寂しい気持ちになったりしています。

 昨年は学会発表や研究会発表ができませんでした。発表者がいないときの調整で入るつもりでいたら、意外と直前で希望者が出たりして。調整のつもりでいるとどうなるか分からないので、自分で業績出したい分はきちんとエントリーしておいた方がいいですね。
 論文は1本、学会でのシンポジウム報告をもとにした原稿です。
・「自然/人工と生殖:『源氏物語』における動物と人形」『文学・語学』 (235) pp.39-47 2022年8月

 発表したまま論文にしていないネタがたぶん10本以上あるので、今年はもう少し書きたいです。全部載せられなくても、5本くらいは書きたい。商業誌にももっと書きたいですが、これは先方からお話が来ないことにはどうしようもないですね。
 一つ、新書のお話が来ているので、無事に原稿を書き上げたいです。捕らぬ狸の皮算用(これってよく考えると、大概な比喩ですね。狸可愛いのに)ですが、それ書けば、印税が入るはずなので、博士論文をもとにした専門書も出したいと思っています。
 それとは別に、非常勤先の講義でやっていた、お人形ネタと、花と少女のネタでも本を出したいので(結構売れるネタだと思うんだけどな)、出版社の方には心に留めていただけるとありがたいです。

 久しぶりに帰省してみると、最年長になったせいか、童顔で子供っぽいと思っていたのすも、随分おじいちゃんっぽくなったと感じます。

 のすももう13歳。もう少し実家から近い場所で就職したい、と思うけれども、研究者の就職は、場所もタイミングも偶然に頼るしかない。だいたい実家から通える範囲だと、香川県内か岡山市、倉敷市あたりしかないからなあ。わんこと一緒に暮らしたいけれど、わんこと一緒に暮らすには、隠居するしかないのかな…

お知らせ(着任・研究業績・KUNILABO)

2022-10-01 16:37:45 | 日記
2022年10月1日付で、東北大学文学部・大学院文学研究科日本学専攻現代日本学研究室に、特任助教として着任いたしました。
これまでより研究に集中できる環境に身を置けますので、たくさん論文や本を出したいと思っております。
どうぞよろしくお願い致します。

それに伴って、仙台に転居しました。
お引越しは本当に大変でした。
引っ越し準備では、いくら段ボール箱に本を詰めても終わらないと感じ、引っ越し後の片づけでは、いくら段ボール箱から本を出しても終わらないと感じました。
文系研究者のお引越しは地獄です。
ようやく本棚に並べ終って、本棚が足りないことが判明したので、1、2台また買わないといけません(自作はできません!)。
今は段ボールを縛る作業をしていたのですが、いくら頑張って持ち運びしやすいようにきちんと縛ろうと努力しても、絶対ゆるむので嫌になってこれを書いています。
基本的に体を使ってやる作業は全部苦手です。

新居は初めて自動で湯はりできるタイプのお風呂で、早速いろいろやらかしました。
1日目…お湯が多すぎて、湯船につかったらざばーんっと大量のお湯があふれる(ガス屋さんに少しずつ調整して設定してください…とは言われていたのですが、そもそも全く見当がつかず)。
2日目…「お風呂が入りました♪」と言われて入ろうとすると全然お湯がない。お風呂の栓をするのを忘れていた。いくら自動でも、栓は手動でしないといけない。
今日は洗面器を買いに行きます(旧居で使っていたのは湯垢でたいへん汚れていたので捨てた)。

既にスタートしていますが、KUNILABOの『源氏物語』ゼミは、今年度9月期も継続です。
非常勤先も、前橋国際大学(対面)と相模女子大学(オンライン)、東洋学園大学(オンライン)は継続です。
物語研究会の事務局代表も継続。意外といろいろ忙しいかもしれません。

最新の研究業績についてもアナウンスしておきます。
『文学・語学』235号に、拙稿「自然/人工と生殖:『源氏物語』における動物と人形」が掲載されました。
2021年度夏季大会のシンポジウム「動物・自然・環境:「文学」研究との接点をめぐって」における口頭発表をもとにした論考です。
『源氏物語』を中心に、生殖と結びつくものとしての動物表象、ジェンダー規範と結びつくものとしての人形表象および、喩えられる登場人物とのずれや葛藤を考察した論考です。
どうぞよろしくお願いいたします。

   
転居して、ようやくお人形さんのための空間を作ることができました。お人形は中川多理さんのもの。山尾悠子さんの小説『夢の棲む街』に登場する、「薔薇色の脚」という登場人物(?)をモチーフとした作品です。下段にいるのはフェリシモの猫ポーチたち+柴犬ポーチ。写真はのすけちゃん。


自分のセクシュアリティはよくわからないけれど…

2022-06-26 00:08:05 | 日記
完全なアセクシュアルやアロマンティックではないのだと思います。
何か薄膜を隔てた先にある感じで、すべてがぼんやりしていますが。
モフモフたちをモフモフするときの感覚はすごくはっきりしているのですが、
そういう感覚も、性愛関係の原初的なものだという見方もありますので、
完全なアセクシュアルではないんだろうなとは思います。

一つだけはっきりしているのは、私は「産む性」ではない、ということだけです。
そこの自認だけははっきりしています(「セクシュアリティ」ではないと思いますが)。
遠い昔、つらいつらい中学時代に、生理が始まって以来、ずっと違和感しかなかったですが、
もうあと何年か我慢すれば、そこからも解放されます。
(体外受精などするのであれば別ですが)産む可能性からは解放されます。
もちろん?ここ何年もそんな心配のない生活を続けていますが、
もし何かあったとしても妊娠することのない身体に戻れるというのは、本当にうれしい。

本年もどうぞよろしくお願い致します。

2022-01-17 23:07:06 | 日記
新年のご挨拶をしそびれてしまいました。
特に喪中だったわけではないのですが、年末年始はそれどころではありませんでした。


昨年末に体調を崩してしまった16歳7か月のカイちゃんがどんどん衰弱してしまい、
お正月休みの明けた4日からは、毎日往診をしていただいて、
治療を尽くしていたのですが、9日に亡くなりました。

自分が東京でいる間に実家の犬猫が亡くなり、見送れないのがつらいということもあって
(昨年亡くなったメガちゃんも7月末だったのですが、見送れませんでした)、
コロナ禍での遠隔授業を幸いに、実家に長期帰省をしていたのではありますが、
昨年11月に亡くなってしまったジジちゃん、そして今回のカイちゃんを見送り、
既にもはや引き続きわんにゃんを見送るには自分の感情が疲れすぎてしまっているような、
自分の感情が平坦になってしまったような気がしています。
カイちゃんはまだ私が院生だったころにうちに来たのですが、
ちょうど私と弟が夏休みの帰省中に、屋上から転落し(転落した場所は今はきっちり塞いでいます)、
幸い命に別状はない様子だったものの、骨折した手に包帯を巻いているのが気持ち悪いらしく、
ずっとイライラして齧っている様子が小さな子供みたいだったのが印象に残っています。

そういう印象深い子で、晩年はまるで以前に要介護になっていたチョーちゃんみたいな顔になって(可愛い)、
体調を崩して歩けなくなるまでは他の子と居場所争い(自分が寝たい場所に他の子がいるとしばらくじっと立ったまま見つめていて、それでも相手が退いてくれなければ吠える)をしていて存在感があった子なのですが、なんだか今でもカイちゃんが亡くなったことの実感がありません。

そんな感じで、随分ぼんやり過ごしておりましたが、
昨年度は前半すこし頑張ったせいか、それなりに研究業績を出していたようです。

論文:
・「森見登美彦『四畳半神話大系』における「もちぐま」の越境」
『人形玩具研究ーかたち・あそびー』 (31) 53-63 2021年3月
・「猫のまなざしを追いかける:『源氏物語』と動物論」
『物語研究』 (21) 16-30 2021年3月
・「天上の魂と地上の身体:矢川澄子『兎とよばれた女』における『竹取物語』解釈」
『古代文学研究 第二次』 (30) 170-183 2021年10月
・「情報化される精神と機械化される身体:京極夏彦『魍魎の匣』、『ルー・ガルー』の比較にみる変容」
『日本文学』 70(10) 13-21 2021年10月

口頭発表:
・「自然/人工と生殖―『源氏物語』における動物と人形」
全国大学国語国文学会 第123回大会 2021年6月5日
・「『秋の夜長物語』翻案としての稲垣足穂『菟』:動物表象とジェンダー」
物語研究会50周年記念大会 2021年8月25日

今年は今いろいろ企画していることもあるのですが、ぼんやりと過ごしております。
いい加減気持ちを切り替えるべきかもしれません。