永井荷風 『濹東綺譚』新潮文庫 1951年 / 岩波文庫 1991年
小説「失踪」の構想をねりつつ私娼街玉の井へ調査を兼ねて通っていた大江匡は、娼婦お雪となじむ。彼女の姿に江戸の名残りを感じながら。―二人の交情と別離を随筆風に展開し、その中に滅びゆく東京の風俗への愛着と四季の推移とを、詩人としての資質を十分に発揮して描いた作品。日華事変勃発直前の重苦しい世相への批判や辛辣な諷 . . . 本文を読む
福永武彦 『廃市』新潮文庫 1971年 (新潮文庫は絶版です)他に、『百年文庫69 水』(ポプラ社、2011年)等に収録されています。
「僕」は、新聞記事で十年前に滞在した運河の町が火事で焼失したと知る。下宿先の旧家のこと、美しい姉妹のこと…あの夏の記憶が動き出す。=例会レポ=
推薦者が『海市』のつもりで『廃市』を推薦した、という裏事情はあったもののかなりの高評価を得た課題本でし . . . 本文を読む