漱石の死とともに未完に終わった『明暗』―津田が、新妻のお延をいつわり、かつての恋人清子に会おうと温泉へと旅立った所で絶筆となった。東京に残されたお延、温泉場で再会した津田と清子はいったいどうなるのか。日本近代文学の最高峰が、今ここに完結を迎える。漱石の文体そのままで綴られて話題をよび、すでに古典となった作品。芸術選奨新人賞受賞。(Amazon 内容紹介より)
=例会レポ=
今回は初めて自分が候補に挙げた本が取り上げられたということで張り切っていたのですが。。。
(自分の感想)
どうも、自分が読んだ他の作品(母の遺産、本格小説)に較べておもしろくなかった。その理由としては話の進行が遅くまどろっこしかったこと。こんなことしか思い浮かず、基調講演としては非常に肉付けのないものとなってしまいました。この小説についてはみなさまのご批判が続くのではと心配しました。
(読書家のみなさまの意見)
・明暗を読まなくてはいけない???
続明暗なので、明暗を読まなくては。という方がかなりいらっしゃいました。(私が明暗を読んだのは、かれこれ20年前?ストーリーを忘れたので、Wikipediaなどで予習してしまいました。小説を読もうと思われた方々の姿勢に感銘を受けました。まだまだ自分は甘い)
明暗が長い話なので、続明暗にたどり着かない方/明暗を途中で打ち切った方/続明暗が途中な方といろいろいらっしゃいました。このようなことから、この本は合宿の課題図書向きではとのコメントもありました。
・明暗と続明暗の連続性について
明暗の語感と違っており読みづらいという意見がある一方で、それほど違和感がないという意見もありました。
また、話の流れとしても明暗の人物像とかけ離れていて、話がおもしろくなく未完のままで良かったのでは
という厳しい感想や予定調和的な結末がいただけない、清子のキャラクターが明暗とは違うといった意見がありました。やはり、文豪と言われる作家の続きを書くことのハードルは非常に高いということを実感。
私自身は、あまり違和感なく読めたのですが、これって明暗自体をあまり意識していなかったからなのでしょうか。
・人物像について
津田・・・高等遊民なのだけど、サラリーマンという設定から小物化している
清子・・・かしこい女性なので、津田なんかと結婚しないでよかった
お延・・・美人でない女性(漱石が書きたかった!)
小林・・・意外と嫌な人でないかも 愛すべきキャラクター
吉川夫人・優柔不断な人
もしこれらの人を芸能人に当てはめるとするとシリーズ(なるほどと思いました)
津田-櫻井翔 清子-堀北真紀 お延-宮崎あおい
・その他
*結末が知りたいという欲求は満たしてくれた小説
*明暗の意味について考えると、最後の展開が明なのではないか
*明暗に挑戦した意欲は買う
*結末としては夫婦再生のストーリー
*何故清子が津田を捨てたかについて納得できた
(講師コメント)
あとがきで舞台裏をあそこまで書いてはいけない、だめな作家。大正時代に複数の作家が明暗の続きを既に書いており、水村はそれを叩き台にして書いている。またエンディングは暗夜行路のパクリ。
明暗は日本の近代小説元祖。それまでは他者という概念がなく、これが初めて。漱石にとって「明暗」は自分は何か?いろいとなことが自分にかえってくるといったことや自我を書いた本である。
上記のような考えは、個人にとって他者とは何かということを考えさせる。一番身近な他者は妻であるが、漱石は妻とはうまくいっていなかった。その状況が漱石の「それから」や「門」の執筆につながっていく。そして漱石は大患を経験し、作風が暗いものへと変わっていく。その作品が「道草」と「明暗」である。明暗とは自我の中にある明と暗を表したタイトルである。その明暗では私とは何かということを問い続け、それを見つめる他者がいる。このような見方/作風は芥川と太宰が引き継いでいった。自分の命を削って書いたその集大成が「明暗」。小説とは自分が何かをみつめること。
(最後に)
どうもこの小説は好きになれない(推薦者の私もそうです)という人がいる一方で、楽しかったという方もいらっしゃいました。ひとつの小説について当然ながらいろいろな意見があるということが再認識できました。ありがとうございました。
今回は初めて自分が候補に挙げた本が取り上げられたということで張り切っていたのですが。。。
(自分の感想)
どうも、自分が読んだ他の作品(母の遺産、本格小説)に較べておもしろくなかった。その理由としては
話の進行が遅くまどろっこしかったこと。こんなことしか思い浮かばず、基調講演としては非常に肉付けの
ないものとなってしまいました。この小説についてはみなさまのご批判が続くのではと心配しました。
(読書家のみなさまの意見)
・明暗を読まなくてはいけない???
続明暗なので、明暗を読まなくては。という方がかなりいらっしゃいました。(私が明暗を読んだのは、かれこれ20年前?ストーリーを忘れたので、Wikipediaなどで予習してしまいました。小説を読もうと思われた方々の姿勢に感銘を受けました。まだまだ自分は甘い)
明暗が長い話なので、続明暗にたどり着かない方/明暗を途中で打ち切った方/続明暗が途中な方といろいろ
いらっしゃいました。このようなことから、この本は合宿の課題図書向きではとのコメントもありました。
・明暗と続明暗の連続性について
明暗の語感と違っており読みづらいという意見がある一方で、それほど違和感がないという意見もありました。
また、話の流れとしても明暗の人物像とかけ離れていて、話がおもしろくなく未完のままで良かったのでは
という厳しい感想や予定調和的な結末がいただけない、清子のキャラクターが明暗とは違うといった意見が
ありました。やはり、文豪と言われる作家の続きを書くことのハードルは非常に高いということを実感。
私自身は、あまり違和感なく読めたのですが、これって明暗自体をあまり意識していなかったからなのでしょうか。
・人物像について
津田・・・高等遊民なのだけど、サラリーマンという設定から小物化している
清子・・・かしこい女性なので、津田なんかと結婚しないでよかった
お延・・・美人でない女性(漱石が書きたかった!)
小林・・・意外と嫌な人でないかも 愛すべきキャラクター
吉川夫人・優柔不断な人
もしこれらの人を芸能人に当てはめるとするとシリーズ(なるほどと思いました)
津田-櫻井翔 清子-堀北真紀 お延-宮崎あおい
・その他
*結末が知りたいという欲求は満たしてくれた小説
*明暗の意味について考えると、最後の展開が明なのではないか
*明暗に挑戦した意欲は買う
*結末としては夫婦再生のストーリー
*何故清子が津田を捨てたかについて納得できた
(講師コメント)
あとがきで舞台裏をあそこまで書いてはいけない、だめな作家。大正時代に複数の作家が明暗の続きを既に書いており、水村はそれを叩き台にして書いている。またエンディングは暗夜行路のパクリ。
(井手:この小説はオリンピックエンブレム級のパクリの連続だったのですね。でも「母の遺産」と「本格小説」はお勧めです。 続いて、講師のコメントは漱石に移ります。私にとっては難しく間違っているかもしれません。。。)
明暗は日本の近代小説元祖。それまでは他者という概念がなく、これが初めて。漱石にとって「明暗」は自分は何か?いろいとなことが自分にかえってくるといったことや自我を書いた本である。
(井手:このあたりがよくわかっていません。次回の飲み会の席で教えを請いたいと思います)
上記のような考えは、個人にとって他者とは何かということを考えさせる。一番身近な他者は妻であるが、漱石は妻とはうまくいっていなかった。
その状況が漱石の「それから」や「門」の執筆につながっていく。そして漱石は大患を経験し、作風が暗いものへと変わっていく。
その作品が「道草」と「明暗」である。明暗とは自我の中にある明と暗を表したタイトルである。
その明暗では私とは何かということを問い続け、それを見つめる他者がいる。このような見方/作風は芥川と太宰が引き継いでいった。
自分の命を削って書いたその集大成が「明暗」。小説とは自分が何かをみつめること。
(最後に)
どうもこの小説は好きになれない(推薦者の私もそうです)という人がいる一方で、楽しかったという方もいらっしゃいました。ひとつの小説について当然ながらいろいろな意見があるということが再認識できました。ありがとうございました。