表千家北山会館
令和5年企画展
『拝見のススメ 陶磁器編』
(7月2日まで)
玄関を入ると
今回の展示のコンセプトが
書いてありました
「拝見」は
茶道の中で大切な決まりとされています
見て何を感じるか
何を楽しむかは自由です
展示で色々な楽しみ方のヒントを通して
自分の「拝見の楽しみ方」を
探して行きましょう
書かれていたこの文章を読んだだけで
今回の企画を考えられた方の
思いと優しさを感じて
うれしくなってしまいました
受付をすませ
まずは3階の展示室から・・・
今回は
覚々斎手造 赤茶碗 象太郎が
特別出品されていました
何を隠そう!今日私は
この象太郎が見たくて
北山会館に出かけたのです
以前に一度
拝見したことはありましたが
ちょうど先月
社中の皆さんと
覚々斎について学んでいましたので
もう一度見てみたいなあと
思っていたところ
本当に良いタイミングで拝見できました
この象太郎は
覚々斎から徳川吉宗に献上された後
その約20年後に
如心斎があらためて
徳川家より拝領したのだそうです
そして
吸江斎の時代になって
覚々斎百回忌の折に
その写しが百個!
配り物として造られたということです
その旦入作の象太郎写しも
展示されていました
本歌と写し
その両方を拝見できることができ
何とありがたいことよと
一人静かに感動していました!
またその展示の上に書かれていた
「本歌と写し」についての解説に
非常に感銘を受けましたので
その一部を
ここにご紹介させていただきたく思います
優れた美術品の美しさ
茶人たちが道具に込めた
創意工夫を学び取り
同じように使って楽しみたいという
その謙虚な思いが
「写し」という文化を生み出した
全く同じ物は作れないが
その作った人の思いを写す
「写意」=意を写す
ことが大切にされてきた
私達も
このような気持ちで
「写し」を使わせていただくよう
心掛けていかねばと思いました
立礼席
2階展示室
(本日も特別出品の作品以外は
すべて撮影可でした)
北山会館から車を走らせて
野村美術館に向かいました
今日は
一日順延となった葵祭のために
通行制限がありまして
鴨川をすぐに渡ることができず
大廻りをしてようやく到着しました(^_^;)
会館40周年記念名品展
「野村得庵のまなざし」
(6月11日まで)
2畳敷の席飾を見ると
小間に憧れて夢を描いていた頃の
自分を思い出します
今日は
千利休作の亀甲竹花入れが
お床に置かれていました
利休様が見たら驚くかもしれない・・・と
思いながら
今の私達からすれば
利休作という理由で
床に置くことができるのでしょう
展示を拝見した後
立礼席に立ち寄り
点て出しでお薄をいただきました
お茶を出して下さったのは
裏千家の先生で
髪を小さくまとめた
ご年配の方でしたが
私が
「お菓子とお茶の写真は
撮ってもいいですか?」
とたずねると
ニコリと笑って
指を丸めて”OK!”と
ジェスチャーして下さり
何だかとても親しみを感じてしまいました
銘 清流 二條若狭屋製
粟田焼
画かれているのは
得庵の別荘「碧雲荘」
なのだそうです
お茶をゆっくりといただき
お茶碗がひかれた後
お床などを一人で拝見して
退出しようとしましたら
先ほどの先生が
出てこられました
風炉の中の灰が
真っ白だったので
不思議に思ってお尋ねしましたら
これは「藤灰」といって
得庵の嗜んでいた藪内流では
風炉にこの灰を使うのだと
教えて下さいました
それから
私が聞いてみたいと思っていた
掛物についても
とても丁寧に説明をして下さいました
今日掛けられていたのは
高橋箒庵筆 野村得庵宛消息
得庵が碧雲荘の池に造った
茶室の名を
高橋箒庵が
「彼(か)の達磨がのった芦の葉の舟」に因んで
『芦葉』と命名するという内容の歌が
記されていると教えて下さり
その一言一句を
私に読んで聞かせて下さいました
その軸装は
貼り風帯で簡素な中にも
中廻しに二色の布が
よく見ると斜めに張り合わされて
モダンな感じになっていて
一文字には
華やかな図柄が使われ
その書かれている内容を知ると
さらにその魅力が増して参りました
美術館で
ふらりと立ち寄った呈茶席なのに
心のこもった丁寧なご説明をいただき
まるで一会のお茶席に
入らせていただいたかのような
とても満ち足りた気持ちで
おいとまさせていただきました