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「桃花笑春風」
壷中庵潤英師
人面不知何処去
桃花依旧笑春風
(人面は知らず いずれの処にか去る
桃花 旧によって 春風に笑む)
出典『槐安国語』
これは
「あの人の面影は
一体どこに行ってしまったのであろうか
桃の花は去年と同じように
春風に微笑んでいるというのに」
という 少し物哀しい詩のようです
諸行無常であるから
今を大切に生きよ
という教えでもあるそうです
(『茶席の禅語大辞典』より)
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ところで
春を代表する花と言えば
他にも梅や桜があるけれど
梅や桜の花に
「微笑んで咲いている」
という言い方は
あまりぴんときませんね
梅は
まだ春寒い中
雪と和して凛と咲く気高さを尊び
桜には
春爛漫の喜びの中にも
去りゆく春のはかなさを感じて愛しみます
それに対して
桃の花は
女の子のお節句のイメージと重なり
愛らしく微笑んでいるという
表現がとても似合いますね
いつもにこにこしている人は
そこに黙ってすわっているだけで
周りをほんわかと暖かくしてくれます
桃の花は
優しい微笑みの尊さを
私たちに教えてくれているようです
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抱清棚 薄茶点前
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名古屋の万年堂さんのお菓子です
万年堂は昔 名古屋で習っていた先生が
いつもお使いになっていたお菓子屋さんです
先日
当時ご一緒にお稽古をしていた
先生の姪御さんから頂戴しました
懐かしいです