松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆2つの自治基本条例(三浦半島)

2012-12-23 | 1.研究活動
 12月議会が終わり、2つの自治体から連絡をいただいた。新城市と横須賀市から、自治基本条例の制定に関してである。
 新城市では自治基本条例が制定された。ここの条例の特色は、地域自治区とセットになっていることである。持続可能なまちをつくっていくには、従来の行政依存だけではだめで、市民自身が自ら考え、行動する足場と仕組みをつくらなければという発想から、この条例は検討されてきた。地方自治法では空白となっている地域組織に手を付けるのは勇気がいるが、今回はそれをきちんと条例で位置付け、困った時は、みんなの問題として考えようという「市民まちづくり集会」もつくられている。熟議の民主主義をやらないと、まちがダメになってしまうという危機感の表れだと思う。
 横須賀市のほうは、否決となった。同時に提案した、自治組織「地域運営協議会」と市の協働に関する条例案も否決となった。横須賀市のほうは、常設型の住民投票付の自治基本条例を制定するという出発点そのものが、ポイントを外していたと思うが、その後、やはり地域そのものを強化しないといけないというところに行きついて、セットでの条例提案となったが、議会の理解は得られなかった。
 自治基本条例は、これからの私たちの未来をどのように作っていくのかを考える条例である。したがって、伝統的な「法」の概念をこえる条例である。なぜならば政府を規律し、市民を義務付けるだけでは、未来に対する回答は出てこないからである。これまでとは違う自治の法をつくる作業ともいえるが、それだけに、伝統的な法学に縛られた固まった頭では理解が難しいと思う。新城市は、おそらく自治の現場から、その問題に行きつき、その未知の世界に敢然として挑戦しはじめたのだと思う。
 あらためて記すと、自治基本条例とは、私たちが忘れかけてしまった、私たちの内発力を再度、鍛え、強めるきっかけとなる条例である。内発力は、他者を大切にし、自分が暮らすまちを大事にするという、民主主義の基本からやっていかないと、鍛えられ、強いものにはなっていかないだろう。ずいぶんと時間もかかるし、地道な努力も必要となるが、おそらく、それしか私たちの未来を切り開く方法はないだろう。要するに基礎から鍛えないとだめだからである。
 私が住む横須賀では、議会は私たちの未来を切り開くツールを否決した。それはそれで一つの見識であるが、その場合、それに代わる道筋を示すのがルールである。どのように難局を乗り越え、私たちの未来をつくっていこうと考えているのか、できるだけ早く示して、それを市民全体で議論できたらよいと思う。
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