松下啓一 自治・政策・まちづくり

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★議会事務局研修会-地方自治が議院内閣制だったら(代々木)

2013-11-01 | 2.講演会・研修会
 議会事務局職員を対象とする研修会へ参加した。NOMAの研修会でテーマは、議員提案の政策条例が中心である。今年で3年か4年目になるが、今回も24名の参加者でバランスよく、和気あいあいの研修会となった。

 いつもは長い自己紹介から始まるが、今回は二元代表制から始めることにした。初めてのメンバー同士なので、最初は固くなるが、そんなときはあえて硬い話をするのがいいのかもしれない。ここから話すとすぐにグループワークになるので、いい感じである。

 日本の地方自治は、二元代表制である。アメリカの制度を基本につくったとされるが、そのアメリカでは、地方自治はすべて二元代表制というわけではない。アメリカの市長さんは、名誉職で、ボランティアといわれるが、それは議院内閣制をとるからで、議会・議員の代表が市長であれば、名誉職も、ボランティアも不思議ではない。

 地方自治は二元代表制のほうがいいのか、それとも議院内閣制がいいのかは、議論が分かれるところである。私は、現時点では、二元代表制のほうが分がいいと思っている。

 議員内閣制は、議会の多数を取るところで(与党になるか野党になるか)、政策競争が起こり、その切磋琢磨の結果として、市民にとってハッピーな政策が決定されるという仕組みである。
 ところが、地域の課題では、さほどの政策競争が起こらない。たとえば最も市民の関心が高いテーマのひとつである「子どもの安全」で考えると、こどもの安全の確保では、イデオロギーの違いは、ほとんど関係なく、行政、市民が、どのように協力して、子どもの安全を実践するか、その知恵を出すことがポイントになる。しかも、資源、権限は限られているので、実際の取れる政策の幅は、ほとんどない。地方では対立的な政策競争は、ほとんど起こってこないと言えよう。

 このように考えると、もし地方自治に議院内閣制を採用すると、議会では政策競争ではなくて、むしろなれ合いのほうが起こる可能性のほうが大きいだろう。

 他方、地方自治が議院内閣制になると、議員は批判者ではいられず、政策提案者になる。議員が提案し、そこで決めたことを市長が実行するという関係になるからである。執行部をチェックするという役割は、今よりもずっと小さくなることは間違いない。

 いずれにしても愉快な研修会だった。

 最近、議員から政策条例が提案されるようになったが、これは、ルビコンを渡り始めたというこちだろう。議員も政策提案者になって、議院内閣制の要素に近づくことになる。議員も自治の共同経営者になるということでもあるが、徐々にではあるが、地方議会の制度も動いている。

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