松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆励ます行政評価ー事務事業評価から政策評価へ(白岡市)

2019-12-21 | 励ます行政評価
 今年度の事業評価の最終回であった。

 評価終了後、2つの点で問題提起した。一つは、政策評価をめぐる問題である。

 現在は、事務事業評価でやっている。行政評価は、財政の無駄を除くという観点から出発したものである。そこで個々の事業を取り上げて、無駄の排除や改善点を指摘する。

 今日では、全体的に見て、無駄な仕事をやっている財政的余裕がなくなったので、事業単体でとらえると、そのなかでは効率的に行われているという結果が大勢である。

 ただ、10年前、先進的といわれた政策が、そう評価されたゆえだと思うが、10年前と同じやり方でやっているというケースもあった。

 それだけ変化が激しい時代ということだろう。市民意識もサービス提供技術もどんどん進化している。人事異動も頻繁で、人の移動で新たな目で見直すというのがひとつの狙いであるが、実際には、まず仕事を覚えることが優先されるから、改善されることなくされ、続いてきた。それを外部の評価をテコに変えていくのは、実践的な方法だと思う。

 こうした例外もあるが、大勢は、その事業単体で見たら、よくやっていると思うが、より上位の政策の在り方から見たら、どうなのかという意見が、さまざまな場面で出るようになった。政策評価の局面である。事務事業評価は、分かりやすく、入りやすいが、これだけでやっていることの限界である。

 政策評価に足を踏み入れるとすると、また別の問題になる。

 事業評価ならば、それぞれの担当課ごとに、仕事を見直す当事者性が高いが、政策評価になると、それが薄まって、全職場で自分事として考えるという趣旨で始めた文化づくりが、曖昧になってしまうかもしれない。

 また政策評価になると、評価基準の統一化が、より難しくなる。いわば、理念の部分が、委員によって大きく違うと、具体的な改善点では大きく違ってくる。

 例えば、私は、協働には前のめりであるが、別の委員さんは、行政の役割と責任に多くの比重を置く。これはそれぞれあっていい。この違いは、個々の事務事業評価では、収斂されるが、政策評価では、出発点の違いが、むしろ拡大するかもしれない。

 政策評価をどのように取り入れるか、この辺りは、じっくりと研究す必要がある。

 もう一つは、事務事業の選定のやり方についてである。

 この行政評価のシステムは、行政の内部評価があり、それを私たち外部の委員が評価している。普通のやり方であるが、イニシアティブは行政にあり、事務事業の選定は、行政が行う。

 これだけやってくると、委員のなかには、この事業を取り上げたいと思う事務事業もでてくる。この委員の思いを取り入れる仕組みの検討である。

 大都市では、公認会計士等による外部評価が行われている。これら外部の人が重要だと思うものを取り上げて評価する制度である。外部評価の事務はやったことがないので、本当のことは分からないが、外部委員がテーマを決める建前になっているが、実際は、事務局と外部委員が、話し合って、テーマを決めているのではないか。外部の公認会計士が、思い付きでテーマにしても、ちっとも面白くない外部評価になってしまうので、「これどうだろう」という話になるのではないかと推察される。

 白岡のような小さな都市で、大都市の外部評価制度のようなものを採用するのは、重装備すぎるので、より実践的に、外部委員の思いを取り入れる制度(制度というより運用かな)を模索できないかというものである。

 これらの話は、行政評価委員会の力量と事務局との呼吸が合わないとできないことであるが、白岡市の行政評価ではそれができると思う。

 いずれにしても、ちょっと研究して、できるところから、トライアンドエラーで、実践してみたらよいのではないか。どちらにしても、注文の多い委員会で、事務局は大変だろう。でも、安い委員報酬で、これだけ、みんながやってくれたら、完全に黒字だと思えば、事務局も、もうかった気になるのではないか(ならないか?)。
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