松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆市民まちづくり集会・実行委員の奮闘(新城市)

2015-05-17 | 地方自治法と地方自治のはざまで

 新城市で市民まちづくり集会が行われた。市民まちづくり集会は、自治基本条例に基づくもので、毎年1回と住民投票がある時に開催される。今回は、庁舎建設の住民投票に伴う市民まちづくり集会である。私も行きたかったが、今回は、訳あって行くことができなかった。

 市民まちづくり集会は、基本は1年に1回なので、通常は、ある程度時間をかけて、事前の準備ができるが、今回の住民投票は、急に決まった話であり、しかも、住民投票の内容もなかなか決まらなかったこともあって、市民まちづくり集会の準備は、さぞ大変だったろう。

 この市民まちづくり集会の開催・運営は、市民の実行委員が行うことになっている。みんな仕事や家庭があり、それぞれ家業や家の都合があるなかで、それこそ休日返上で、連日連夜の取り組みになったろう。例えば、委員長の田村太一さんは、建設会社の社長さんであるが、家業やご家族は、大丈夫なのか、心配になる。

 限られた時間で、意義のある会議としよう、公平・公正な運営を心がけようと奮闘した委員会のメンバー一人ひとりの顔が浮かぶが、みな真摯に新城市のことを考え、『納得の一票』になるように、最大限の努力をしたと思う。頼もしいことだと思うとともに、本当に、頭が下がる。

 この委員会の活動に対して、批判も散見する。もちろん批判はあってもよいが、批判の前に、まず感謝し、労をねぎらうのが最初である。「ご苦労様でした、ありがとうございます」と言ってから、「ただ、この点については、…」と批判するのが、民主主義の、いや人としてのルールである。住民投票は夢中になって他が見えなくなる制度であるゆえに、特に気遣いが必要になる。

 市民まちづくり集会の様子は、今時点ではネット等で知るしかすべがないが、新城市の松井通剛さんが、フェイスブックに、強い調子で書いている。松井さんは、自治基本条例でご一緒したが、分別のある、冷静な議論をする人で、こんな強い文章は、意外だった(松井さんは、あるとき、なぜ自治基本条例をつくるのかについて、「人は一人では暮らせないから」と一言で喝破したことが印象的である)。  

 【 新城市市民まちづくり集会 】 《 野次が止められない 》

見事なまでに中立性に配慮した実行委員会の真摯な運営態度に
比べ、あのひどい野次はなんだ。
野次を飛ばすタイミングに偏りもあった。

これらの輩は何かを主張する資格のある市民でもなければ、
論理を旨とする市民活動家でもなく、
又、自己犠牲をいとわぬテロリストでもない。
人の感動をも無造作に喰らう単なる馬である。

冒頭、壇上の主催者から、「どちらに投票するか決めていますか?」と
質問があり、私はまだ決めていない方の「赤カード」を上げた。
で、帰りにもまだ決まらなかった。苛立ちだけが募った。

が、決まったことが一つある。
それは彼の「馬」を絶対許さないということだ。そして
この馬を諌める「人物」が、最後まで周囲にいなかった事が
何よりも悲しい。

 住民投票は、相手の非を攻め、自らの優位を主張する仕組みなので、夢中になればなるほど、どんどんエスカレートする。それゆえ終わった後にノーサイドにするのが難しい仕組みである。

 幸い、今回の庁舎問題を契機に、多くの人がまちづくりに関心を持つことになった。庁舎の建設は、目的ではなく、まちづくりの一歩にすぎないので、この市民の関心をまちづくりに向け、一人ひとりの、現場における実際の行動につなげることが肝要である。リーダーたちの「創り上げる力」に期待したい。

  

 

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2 コメント

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引き続き、よろしくお願いします。 (マロン教授)
2015-05-22 06:43:22
ごくろうさまでした。大変さが、よくわかるので、文章を書かずにいられませんでした。

それにしても、住民投票は、難しい制度ですね。しかし、憲法改正はじめ、私たちは、これをこなしていかなければ、いけない訳で、一人ひとりの市民性が問われます。

ただ、助けあいが基本の地方自治では、投票ではなくて、知恵や工夫で行くのが、王道だと思いますね。

引き続き、新城市のために、奮闘ください。期待しています。
みなさんにも、よろしく。
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Unknown (田村太一)
2015-05-21 09:12:41
松下先生、ご無沙汰してます。また、ご心配いただきありがとうございます。従業員と家族の理解と協力に感謝する日々でした。
今回の集会は、これまでで最も時間的にも内容的にも困難なものでした。その中で実行委員を支えていたのは、「住民投票によってしこりを残し、まちづくりが停滞することがあってはならない」という想いでした。ただ結果として、委員をはじめご来場いただいた方々に、心の傷を負わせることとなってしまったことは、運営責任者として悔いております。
その反省として、先生からご指摘いただいた「熟議の市民参加の有効性」に、今後、想いを巡らせてまいりたいと考えます。
また、ご教授ください。
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