
墓参りに行った。親父の好きなビールを持って行ってあげた。
親父とお袋があいつで亡くなってから、もう10年になる。大学を出て、人生を見定められずにプラプラしていた時も、連れ合いと結婚するときも、役所を辞めて大学に移るときも、いつも「ああそうかい」と言ってくれた。自分も親になってよく分かったが、本心は、きっと心配だったのだろう。しかし、本当に困ったときには、頼ることができるという、セーフティネットのような存在で、本当にありがたかった。
私自身が親になって、心がけたことは、両親と同じようなセーフティネットのような存在であることである。ついつい、口を出したくなるが、その時は、両親を思い出した。そのせいかどうかは分からないが、他者の意見が聞ける思いやりのある子どもたちの育ったと思う。その分、個々の場面では、社会では割を食うこともあるかもしれないが、どう生きたかが問われる人生では、きっと良い結果になるだろう。
墓参りが終わって、食事に少し足を延ばすことにした。庭のきれいなお店で食べようということなった。お店までの途中に、私の出身校があるので、ちょっと寄り道することにした。希望ヶ丘高校といって、まるで石坂洋次郎の世界のような名前の学校であるが、元は神奈川一中といって、神奈川県では一番歴史が古く、私が入ったときは、ジャバラ、黒ボタンの制服のいかつい学校だった。
はじめて高校に行ったとき、校門からの道は、森が鬱蒼としていて、高校というのが、何と大人の雰囲気なのだと思った。この学校では校庭で整列するときは、背の高い順に並ぶが、ここでもなんと大人の雰囲気だと思った。ちなみに私は、いつも後ろから5,6番目だった。
朝のうち靄がかかっていたが、お昼から青い空の夏らしい天気になった。