松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆なぜPIをやるのか(焼津市)

2012-10-21 | 1.研究活動
 好天に恵まれた日曜日、焼津の市民会議に顔を出した。新幹線は、何か久しぶりという感じがした。実際は、そうでもないが、乗ったのが、のぞみではなく、ひかりであること、日曜日で、ビジネス客があまりいなかったからだろうか。新横浜・静岡は40分くらいであっという間なので、パソコンを打つのを止めて、コーヒーを飲みながら、車窓の景色を楽しんだためかもしれない。焼津は、9月の末のワールドカフェで、学生たちとバスに乗って訪ねて以来である。
 焼津では、市民会議のメンバーが、自治基本条例づくりをしているが、夏のPIを終えて、次の段階に移ろうというところである。メンバーとは、すっかり顔なじみになったので、アドバイスというよりも、顔を見に行ったという感じである。
 焼津では、条例づくりにあたっては,市民PIをやった。多くの市民会議のメンバーがまちに出て、自治基本条例をめぐって説明し、市民の意見を聞いた。なぜこんな面倒なことをやるのか。
 1.これまで、私たちの暮らしと密接な関係を持っているはずの自治の分野でも、私たちの知らないところで、ものが決まっていた。市民会議のメンバーだって、「いつ決めたんだ、聞いてない」と思ったことがあるだろう。そういったことがしばらく続き、広く市民の間にも、「役所が勝手にやっている」あるいは「誰かにおまかせ」のお任せ民主主義が蔓延した。
 今後の厳しい時代を乗り越え、次代にバトンタッチできるまちにするために、住民による自治をはじめようと考え、自治基本条例の検討を始めたのである。これを市民の知らないところでつくり、お任せでつくっては、それはおかしな話である。だから、市民とともに考えようと、市民PIを始めたのである。
 2.市民と一緒に考える方法は、ひとつではない。自治基本条例魚河岸シャツも、のぼり旗も、Facebookも、その試みである。楽しみながら、次から次に、繰り出していこうではないか。
 3.でも、そのうちでも、やはり一番大事なのは、直接対話である。相手の顔を見て、自分たちの思いを伝える。地域に住む人が自分たちの問題を考え、解決していくのが自治であるから、顔の見える関係こそが基本である。それを大事にするのが、市民PIである。
 4.むろん、やってみると分かるが、なかなか簡単なことではない。もどかしさも感じたろう。でも何人かは、耳を傾けてくれたのではないか。小さいけれども、市民自身がそういう波紋を起こしていくことが大事で、こうした小さな波を起こすきっかけになるのが、自治基本条例である。あちこちで、小さな波が起こるようになれば、大きな波になり、まちが変わっていく。そうした最初の一歩を自治基本条例で始めているのだと思う。
 5.だから、無理をし過ぎてはいけない。成功体験を積み重ねることが大事である。ちょっと頑張る、楽しく頑張る程度でよいと思う。いまは土壌を作っているのだといった、大らかさが大事なのだと思う。

 市民会議ではfacebookをつくっていて、それを見ていたら、「私が行くと、少し元気になる」と書いてあった。それを見て、私は、素直に、「よしまた行くぞ」と思う。これまで自治とは、怖い顔をして、追及することで進めてきたが、それでは、もはや限界だろう。怒られて力が出る分野もあるが、自治・まちづくりの場合は、褒められ、頼られ、励まされた方が、力が出る。
 
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