松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆新総合計画の議論から 自治の基本とは(相模原)

2018-11-18 | 総合計画

 この日も審議会があった。いつも出てくるのは、総合計画の文章の主語がないという話である。

 この日は、地域コミュニティがテーマとなったので、この問題が、顕在化した。

 まちづくりは、誰がやるかでは、大別して2つの考え方がある。従来の考え方(A)は、行政、議会がやるという考え方である。地方自治法の考え方で、確かに、500条弱の条文のうち、住民が主語の条文は6条しかない(残りは行政と議会の規定)。

 他方、まちづくりは、行政・議会とともに,市民も主体という考え方(B)がある。ここに市民とは、自治会・町内会、NPO、企業等も含むが、これらも公共主体という考え方である。2000年以降、主張されるようになった新しい公共論の考え方である。
 
 私は後者の立場に立ち、それぞれが存分に力を発揮することで、まちをつくっていくという考え方である。これが協働という考え方である。協働は、それぞれが、自分たちの得意分野を担当し、力を発揮するということである。そして、これらを束ね、大きな力にするのが、市長・議員の役割である(総合計画の役割でもある)。

 本来は、自治体ごとに、こうした基本の議論(AかBか)をすべきであるが(自治基本条例)、相模原市は、こうした議論をしてこなかった。かつて、そのチャンスもあった(マニファスト(?)に掲げられたこともあった)が、結局、うやむやになってしまった。

 (A)でいくか(B)でいくか、明確な方向性がないので、三人三様の「まちづくりの主体論」になってしまい、その場、その場で、声の大きい人や場の勢いで、動いてしまうことになる。だから、行政に文章の主語を求めても、気の毒で、どう書こうか困っているのではないか。

 そうすると、結局、原則論に戻って、地方自治法の考え方(A)で、まとめることになると思う。しかし、人口減少や高齢化がリアルな問題となった今日、行政や議会がまちづくりを行うという考え方で本当にいけるのか。税収(財源)は大丈夫なのか、マンパワーはあるのか。
 
 幸い、相模原の場合は、開発の余地があるので、この8年は、なんとか行けるという報告であった。ただ、本当にこの目論見のように上手くいくのか、8年間はいいとして、その後はどうするのかといった課題が残されている。

 (A)か(B)かの議論は、大議論で、ちょこちょこっと決められる話ではない。つまり(B)を取れば、当事者である市民に、その気になってもらい、それぞれの場面で実践してもらわないければいけない。今まで、ずっと(A)でやってきたので、簡単に変換はできない。それには、市民を交えた仕組みをつくり、1年、2年をかけた本格的な議論が必要になる。でも、今回の総合計画では、もう、それをやっている時間はない。

 しかし、この自治の基本の話をしておかないと、いつまでも「主語」の問題は、付きまとってくるので、せめて、審議会のなかで議論して、ある程度の合意をつくり(おそらく(B)になると思われる)、そのうえで総合計画をつくる必要があるのではないか。鶏が先になってしまうが、仕方がない。総合計画を作ったうえで、市民合意(つまり、市民も自分たちも自治の当事者となって活動していくという覚悟)を持ってもらうための活動をしていくしか、もう選択肢がないように思う。

 ちなみに、この自治の基本をきちんと議論がすんでいれば、あとは簡単、気が楽である。ポイントは、行政、議会、市民のそれぞれが力を出してもらうには、今、どの部分が弱いかを考えれば、良いからである。愛知県新城市などは、こうした考えで、市民のうち、活躍していないのは若者だということで、日本初の「若者政策」が出てくる。

 私は、行政、議会、市民が存分に力を出すことを分かりやすく「9人で野球をやろう」と言っている。今までは、行政、議会の6人だけで野球をやっていた。ちなみに、国は、1億総活躍である。これも全員野球であるが、ただ国の場合は、「自治の基本をその当事者である市民も交えて議論する中で、自分たちの問題として覚悟していく」というプロセスをすっ飛ばしているので、「上から「もっと働け」と言われているような気になる」という批判を受けるのだと思う。

 ともかく、この総合計画が、相模原市72万人が、自分の持ち味を最大限発揮して、総活躍できるものとしないと、もったいないと思う。

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