松下啓一 自治・政策・まちづくり

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○投稿に触発されて-被災時に民間住宅を素早く貸出すシステムづくり

2016-05-09 | 空き家問題

 今井さんの投稿に触発されて。量が多くなったので、項目を立てた。被災時に民間住宅を素早く貸出すシステムづくり。

 空き家には、売買・賃貸のための空き家があり、これは常に在庫を抱えています。この空き家を被災した個人が、探し求めるのではなく、被災者を対象に、スピーディに貸出すシステムを準備しておくことが必要ですね。 

 これは、個別企業の努力ではなく、業界団体の公共的責任になると思います。仲介物件をたくさん集めること、住めるかどうかの診断を素早くすること、仲介手数料を無償化・低減化することなど、事前に準備体制を整えておくことが山ほどありますね。 

 東日本大震災の経験から、提供可能な住宅の把握や事務処理に時間を要したことなどの課題もあったことから、国や関係団体は、災害発生時に民間賃貸住宅を円滑に活用するために、都道府県と業界団体が結ぶ協定をつくりました。熊本県は、公益社団法人全国賃貸住宅経営者協会連合会と協定を結んでいますが、うまく機能したのでしょうか。 

 (社)千葉県宅地建物取引業協会は、すでに平成18年5月25日に、千葉県と「災害時における民間賃貸住宅の提供に関する協定」を締結しています。https://www.chiba-takken.or.jp/about/Contribution-Activities/saigai.pdf 

 この協定は、大規模な災害発生時に住宅を失った被災者に対し、協会員の協力により民間の賃貸住宅の提供等を行い、被災者の生活再建を支援するというもので、「本業務は、われわれ住まいの専門家である宅建業者にしかできない貴重な社会貢献事業です。是非とも本趣旨をご理解の上、家主の方へも本書によりご説明いただき、災害時における本業務の推進にご協力くださるようお願いいたします」とされています。これも「自分たちの強みを公共のために発揮するもの」で、協働事業ですね。 

1.協定の主な内容

①千葉県は災害救助法適用時に、公的一時提供住宅や応急仮設住宅が十分確保できない場合、千葉県宅建協会に対し一時提供住宅として利用可能な民間賃貸住宅の情報や住宅の提供について協力を要請する。

②千葉県宅建協会は、千葉県からの要請に基づき、協会員が有する応急仮設住宅として利用可能な民間賃貸住宅情報の提供等を行う。

というものです。 

2.借り上げ条件としては

①千葉県が契約当事者(借主)として、家主と賃貸借契約を締結し、協会員がその契約の代行を行います。代行に係る費用は、月額賃料の0.5月分(消費税相当額は別途)です。

②賃貸借契約は2年の定期借家契約とします。

③賃料は千葉県が負担し、上限を10万円とします。

④敷金(保証金を含む)及び礼金は、千葉県及び入居者は負担しません。

⑤共益費・附属の施設の使用料・自治会費等は、入居者が負担します。

⑥修繕費は入居者の責めに帰すべきものを除き、原則家主の負担とします。

⑦住宅返還時の原状回復は、経年変化による自然劣化、損耗及び通常使用による損耗を除き、入居者の故意または重大な過失がある場合は入居者が負担しますが、入居者がやむを得ない事情により負担できない場合は千葉県が負担します。

⑧住宅の基準は、1戸あたりおおむね19㎡以上80㎡以下(共同住宅ではバルコニー・共用部分を除く)の範囲内とします。 

 この協定に基づいた賃貸住宅の提供が行われるには、家主の協力も欠かせません。大災害の記憶が薄れたときばドは、忘れられがちになるので、この制度に関する市民の周知も大事ですね。 

 首都直下型の場合は、住めなくなる住戸は、熊本の比ではないでの、単なる儀式ではなく、きちんと機能するように、協定を結ぶ必要がありますね。 

 また、空き家を撤去したあとの空き地が、今後、郊外部を中心にたくさん出てきますが、これを把握しておいて、そこに仮設住宅を建てるというアイディアもありますね。空き家の撤去費用を自治体が支援をする場合や相談等があった場合は、被災時には、そこに仮設住宅を建ててもよいか、確認するというものですね。 

 「空き家も地域資源」なので、さまざまな知恵を出して、被災後の住居の確保を考えておく必要がありますね。

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
業界団体と自治体の協定 (imai)
2016-05-09 19:32:53
東日本大震災以降(千葉県はそれ以前から)、そのような動きがあったのですね。おっしゃる通り、肝心なのは実際にワークするかどうか。
不勉強もありますが、存じ上げませんでした。ありがとうございます。
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