一人2票は、なかなか実践的な方法である。
市民会議で、座長を選ぶなど、何か1つを選択しなければいけばいけない時がある。通常は投票になって、一人1票として、一つを選ぶことになる。こういう時に、私が実践しているのは、一人2票である。なぜ一人2票がいいのか、その理論は、うまく説明できない。
ミルは複数投票制を提案している。ミルの時代、普通選挙が普及するなかで、知識の乏しい労働者が、 少数の知識エリートを数の力で圧倒することを懸念して、ミルは知識階級に複数の投票権を与える複数投票制度を提案した。むろんミルの主張そのものは、今日では受け入れられるものではないが、その言わんとしているのは、一人1票制は、公共意思を確認する方として、妥当なのかという問題提起である。複数投票制度は、公共意思を確認するための具体的提案ということである。
体験的であるが、一人1票で、代表者を選ぶと、ときの勢いというのが大きく作用する。例えば、その前の演説が素晴らしかったといった、その場の雰囲気によって、決まってしまう。むろん特定プロジェクトのような場合は、そうしたやる気のある人、突出した人がリーダーの場合がいいこともあるが、審議会の場合は、ちょっと違うと思う。
審議会の目的は、多様な意見を出してもらい、それを踏まえて熟議をして、よりより結論を導くのが目的である。審議会には、多分に調整的であり、そこには相互の理解、妥協、合意というプロセスが必要になる。この場合のリーダー(座長)は、懐の深さというか、多様を許容できるかどうかが重要な要素となる。
この点、体験的であるが、一人2票は、みなが納得できる人が選ばれるシステムである。一人2票だと、立ち止まって考えることができるからか、世のなかには、甲乙つけがたいということがままあるためだろうか、い感じになる。どうもうまく説明できないが、ともかくやってみるといいと思う。