松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆新城が面白い(新城市)

2013-03-26 | 1.研究活動
 新城が面白い。新城市は、奥三河の人口5万人を切る小さな町である。このまちで、さまざまな自治の新しい取り組みが試みられている。
 久しぶりに、穂積新城市長さんのブログを見ると、興味深い提案がされている。「市民参加の市長選、熟議の市長選」である。
 穂積さんの提案は、要するに市長選挙も、市民参加型、熟議型にしようというものである。
 穂積さんの体験によると、選挙というのは、仲間を固め、それをヒートアップすればするほど、強い選挙になるらしい。その結果、一般の(多くの)市民は埒外に置かれ、それがシラケの原因になっていく。要するに、市民は、投票という参加権があるが、実際は、埒外に置かれ、その結果よく分からずに、イメージやムードで投票を決めたり、あるいは投票に行かないことになる。今回の提案は、市長を選ぶという参加(投票権)をより実質的にしようということなのだろう。
 考えてみれば、ここ30年の間に、さまざまな分野で市民参加が試みられてきた。大きな方向性は、形式参加から実質参加である。形だけの参加を乗り越えて、熟議の市民参加に変えようということである。はじめは、行政への市民参加から始まったが、それが議会への参加に広がり、今回は、市長選挙への参加へと広げていこうということだろう。
 市長選を熟議の市民参加にする方法は、いろいろあるだろう。すでに行政や議会において、情報公開とセットで、市民参加の実質化の試みが行われてきた。ヒントはいくらでもある。選挙は、法の縛りが強いが、知恵を絞れば、熟議の市長選を実現する方法はあるだろう。
 新城市の市長選挙は、今のところ、穂積さんと山本拓哉さんが出るらしい。山本さんは、自治基本条例の市民会議でもご一緒したが、真面目で誠実な方である。
 穂積さんも山本さんも、それぞれ得意分野があって、この熟議の市長選の制度設計如何によっては、有利不利があろうかもしれない。また、それぞれ、相手側の提案に乗るというのは、後塵を拝するようで面白くないという意見もでるのかもしれない。しかし、そうした小異は、ほどよい決着点もあるはずだし、知恵を出して乗り越えてほしい。
 大事なのは、新城から、自治の新しい試みを発信することである。知恵を出し合って、自治の新たな仕組みの提案ができれば、新城の名はさらに全国に知られることになる。だから制度設計のときから、どんどん全国発信することが肝要である。発信しているのは、自治の新たな試みというハイブローなものである。これで新城のブランド力がさらに高まれば、新城の市民もさらに自信を持つことができるだろう。幸い、この方法は、頭で勝負でお金はかからない。人口5万人のまちが、生き残るには、ひとつ、ひとつのチャンスを活かすしかないだろう。幸い、今回は、こうしたことがよく分かっているお二人が名乗りを上げている。まちを元気にするという観点から、知恵を絞ってほしい。
 
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