松下啓一 自治・政策・まちづくり

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○空き家・郊外の戸建ての風景

2016-04-18 | 空き家問題

 大都市の郊外の戸建て住宅において、空き家問題が顕在化している。交通不便なニュータウンほど、深刻な問題となっている。

 高度経済成長期、大都市の郊外で、大規模なニュータウンが開発された。デベロッパー型の都市計画なので、広い敷地に、戸建て住宅がゆったりと建てられ、道路、公園等の公共施設がきれいに整備され、良質な住環境のまちができあがった。

 しかし、子世代は独立して、ニュータウン外に転出してしまった。高齢化した親世代は残ったが、人口減少等の影響で、ニュータウン内にあった商業施設は撤退をはじめた。町並みはきれいであるが、生活の利便性は低下してきた。交通が不便なニュータウンの場合、残っていた親世代も、駅近くのマンションに転居するようになった。少しずつではあるが、空き家が目立つようになった。 

 所有者である親世代は、売却・賃貸等の利活用に積極的でない。「物置として利用している」、「将来、子どもが住む予定」「処分・利活用は将来   相続後の子世代に任せる」「売却等の価格に納得できない」等の理由からである。ようやく買ったニュータウン、ある種のステータスであったニュータウンを簡単に人に譲ることはできない。

 建築協定というのも、結果的に空き家を後押しする。住環境を維持するために、敷地の細分化ができないようにするわけであるが、その結果、全体として値段が高くなるので、市場に供給されても 買い手がつきにくい。これから広い家が必要になる世代にとっては、高すぎるのである(正確には、割高感があるのだと思う。全体に地価が安くなり、タワーマンションなどの供給も増えてきた。ほかにも、もっと魅力的な物件がでてくる)。

 大都市郊外のニュータウンで、空き家がぼつぼつと発生している。現時点では、何とか管理されているが、あと10年たって、所有者の更なる高齢化が進んだとき、空き家問題が一気に爆発するのような気がする。

 

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