松下啓一 自治・政策・まちづくり

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◇夏休み(横須賀市)

2010-08-17 | 5.同行二人
 ほぼ、一週間近く、夏休みとなった。やはりお盆はお休みである。来るメールもぐんと少ない。来るのは学生からの携帯メール。今週から秦野市へインターンシップに行くための打ち合わせである。
 夏休み中の仕事の第一は、『はやわかり地方自治』(学陽書房)の完成。この本は、半分が図解の本であるが、文章のほうは比較的簡単に書けたが、図のほうは難しい。半日かかってようやくそれなりになるという図もある。3日かかったが、一つを残して、原稿を村上さんに送った。返事がないので、きっとお盆で福島に帰っているのだろう。
 小田原の提言書の「はじめに」を書いた。小田原の会議らしい気楽な文章になった。あわせて提言内容も見直して、返送した。最後のところで、ファシリテーターの今井さんと担当のSさんががんばった。この提言の特徴は、他の自治体の条例を一切見ないで作ったこと。あわせて、すでにやっていることを確認的に書くのではなく、半歩、前にいくこと、やるべきことを記述した。自治基本条例の画期になるだろうか。
 残ったのは、試験の採点。こちらは早くやろう。講演の準備等もあるが、失礼してちょっとこちらもお休み。
 あとは、読書三昧。中心は神聖ローマ帝国を読んでいる。その関心のもとはEUである。EUは、通貨も統一し、最近では徴税権まで付与するという。これをみると国家主権とは何かを考えさせられる。ヨーロッパでは、なぜ、こんな破天荒なことができるのか、翻って、東アジア共同体は可能なのか。しかし、たしかに、かつてヨーロッパは、一つの国であった時代があった。その神聖ローマ帝国にヒントがあるのだろう。EUに関しては、大阪国際大学の古賀先生(シュミット研究の専門家)、山本先生(ルソーの専門家)、瀬島先生(国際政治をコンピュータシュミレーションでひもとく)との研究会で、大いに勉強した。これらの先生方のことをときどき思い出すが、駆け出しの研究者の私に何かと気を使ってもらい、本当に懐かしい。
 関心のもとは主権である。とくに最近、地域主権が、はやりであるが、言葉の正しい意味で言えば、地域主権とは、ドイツのような連邦国家になるということであるが、実際、市民は、本当に、どこまでの地域主権を望んでいるのだろうか。横並び意識が強く、狭い日本で(隣の様子が見えるところで)、自治体によって、権利の内容やサービスの給付の水準が違ってくることを市民が、本当に望み、許容しているのだろうか。その確認、検証は、おそらく一つひとつ、たとえば、自治体ごとに軍隊を持つことを許容するか(地方主権の国、アメリカでは、州ごとに軍隊を持っている)-イエスかノーかから出発して、口蹄疫がでたときは、国に頼らず基本的には宮崎県内で解決するのか-イエスかノーか、といった一つひとつを検証していくなかで、市民が望む地域主権の意味・水準が見えてくるのだろう。そこを確認しないと、市民としての覚悟ができない。それをやらないと、都合が悪くなると、「国の責任」と言い出すことになってしまう。誤解を恐れず言えば、現時点の市民の思いは、「地域に任せたほうがうまくいくものは、地域に任せる」(反面、同じ日本に住んでいるのだから基本的なサービスは同じであるべき)といった程度を期待しているのではないか。むろん、これでは、主権という言葉と大きく乖離している。ただ、この程度の実践でも、実際には容易ではないのに(いくつか試しているが、難しい)、本来の地域の主権まで展望すると、私の能力では、どこから手をつけたほうがいいのか、皆目わからないというのが、本当のところである。
 あとはジム。なかなか行けないが、終了後、ジムの前にあるサイゼリアで、大盛りライスを分け合って、遅い昼食を食べるのが楽しみになっている。
 今回は、夏休みで時間があり、長い文章になった。

 ヴェルニー公園前の横須賀軍港に、たくさんの船が来ていた。しらせもいた。自衛艦もお盆休み。
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