松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆Withコロナ時代のまちづくり(4)自助、共助、公助

2020-11-08 | Withコロナまちづくり
 Withコロナ時代は、これまでの価値を問い直すことになる。自助、共助、公助もその一つである。

 菅義偉総理は、自民党総裁選出馬時に、「まず自分でできることは自分でやる、自分でできなくなったらまずは家族とかあるいは地域で支えてもらう、そしてそれでもダメであればそれは必ず国が責任を持って守ってくれる。そうした信頼のある国づくりというものを行っていきたいと思います」(NHKニュースウォッチ9)と語っている。

 しばしば語られる、「自助・共助・公助」論であるが、自助、共助、公助の重要性は、私も、そのとおりだと思う。問題は、これに順番をつけることである。順番論では、自助→共助→公助の順となっている。

 EUができるとき、自国との関係を説明するために、この順番論が用いられた。たしかに統治の仕組みでは、身近な自国政府からスタートするという考え方は、よく理解できるし、実際的なことだと思う。EUを立ち上げるためにも、納得性が高い理論だったと思う。

 問題は、それを暮らしやまちづくりに持ち込む点で、そこが間違いだと思う。暮らしでは、自助が得意なところは自助で、共助が得意なところは共助で、公助が得意なところは公助でという、得意分野論が正しいと思う。自助、共助、公助が、足並みをそろえて、暮らしに関わることで、私たちの平穏な生活は維持できる。

 順番論では、まず自助であるが、自分ではできないところも自助で頑張ることになり、その分、共助や公助の出番が遅くなる。そのため、手遅れということになってしまう。あるいは、自助で解決できなかった本人が非難されるということが行われる。

 コロナでは、これが顕著になった。自助の国アメリカでは、死者が23万人にもなった。日本では、コロナにかかったことだけで、排除やいじめ、差別が行われている。さらには、医療や福祉でコロナに関わる人の子どもがいじめられるということが起こっている。

 Withコロナの時代は、この自助→共助→公助の順番論を見直す、ちょうどよい機会になるだろう。自助・共助・公助が、それぞれが、それぞれの得意の分野で活躍することになる(得意分野論)と、ここを基点に、その他の分野でも、それぞれが得意な分野で活躍する社会に展開していく。

 コロナを奇禍として、一歩前に進めないと、もったいないだろう。
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